数多く考えられる将来の自分。
 最終的にはその何処かの道に自分は居るんだろう。
 だけど、まだどの道に行くのか分からない。
 あの子は……すずかはどう考えているんだろう?  

 始まります。


「ねぇ、すずか……」
「なぁに? アリサちゃん」
「すずかは将来なりたい職業とかあるの?」
「う〜ん……色々なってみたいのがあって特に決まってないかな。そういうアリサちゃん
は何かなりたい職業はあるの?」
「ううん。あたしも色々やってみたい事はあるけど、特にこれっていうのはないわね」
 本当に色々やってみたい事がある。
 実際に自分にその能力があるか分からないけど、そこは努力でどうにかするわ。
「でもね……一つだけやってみたい事があるんだ」
「何?」
「えっとね……」

「アリサちゃんのお嫁さんになる事だよ」

「な――――っ!?」
 あ、ああ、あたしのお嫁さんになりたいって、何バカな事を――
「アリサちゃんは私にお嫁さんに来てもらうのは嫌?」
「い、いいい、嫌じゃない…………けど」
「けど?」
「な、何でも無いわよ!」
 すずかが嫁に来るって事は、つまりはあたしが婿になるって事よね?
 すずかが嫁であたしが婿で、すずかが嫁…………

『すずか。今帰ったわよ』
『お帰りなさいアリサちゃん。ふふ……ねぇアリサちゃん。ご飯にする? お風呂にする?
それとも……わ・た・し?』
『す、すずか――――――――――っ!』

 い、いい。最高に素敵じゃないかしら。
 すずかと、そういう新婚みたいな生活を将来送るのはいいかもしれない。
 うん。あたしの将来にもそのプランを組み込もう。
「今、こんな事を聞くのは狡いっていうのは分かってるけど答えて欲しいな」
「な、何を……?」
 聞かなくても分かっている。すずかが本当に聞きたい事なんて理解している。
 さっきのすずかの台詞。そこから考えて理解出来ない方がおかしいわよ。
 だけど、理解しているけどちゃんとすずか本人の口からその言葉を聞きたい。
 本当に狡いのはあたしの方だ。
「こんな私でいいのならアリサちゃんのお嫁さんにして欲しいの」
 まるで懇願するような、すずかの表情。
 そんな表情をしなくてもあたしの答えは決まっている。
「一度しか言わないからちゃんと聞いてなさいよ」
「う、うん」
「あたしは――」

「すずかが大好きで愛してるわ。だからあたしと結婚して欲しい。いや結婚しなさい」
 お願いじゃなくて命令。すずかにもあたしの気持ちは分かってくれてると思うけど、ここは
あたしに意地を張らせて欲しい。
「ふふ……アリサちゃんったら♪」
 あたしの命令にも何処か嬉しそうな表情を浮かべるすずか。やっぱりあたしの気持ちをちゃんと
汲んでくれたみたいね。
 あたしのパートナーはすずか以外にはありえない。
 将来あたしがどんな所に立っているのか分からないけど、それでもあたしの隣にはすずかが立っている。
 それだけは決まっている未来なのだ。
 それだけ決まっていればあたしは何も怖くない。
 そう。すずかが隣で笑っていてくれるのならば……

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