幼い頃からずっと夢見てきた事がある。
 その夢のために時には無茶をし、怒られた事もあった。
 人は一度は何かしらの夢を持つ。
 あの人は一体どんな夢を持っていたのだろうか?
 幼くして管理局に入局した彼女の夢は一体何なのだろうか?

 始まります。


「なのはさんは、子供の頃どんな夢を持っていたんですか?」
 偶の休み。なのはさんとまったりと過ごしている時に、ふと思ったこと。
 私は昔から執務官になるのが夢だった。 
 執務官を目指す前はもう少し、子供っぽい夢もあったと思うけど、執務官になりたい
と思うようになってからは、他の夢を持つ事は無かった。
「う〜ん、子供の時の夢かぁ……」
 なのはさんは少し考えた後、
「特に何も無かったかも……」
 予想外な言葉を返してきた。
「な、何も無かったんですか?」
 さすがにそれには私も驚いた。まさか、なのはさんに夢がなかったとは思わなかったから。
「わたしは昔から何も出来ない子供だったから、夢を持つって事がなかったんだよ」
「そんな……」
 そう語るなのはさんの表情は悲しそうで、見ている私まで胸が張り裂けそうな気持ちになった。
「何も出来なかったけどユーノ君と出会って、そして魔法に出会ってわたしにも何か出来る事が
あるかもしれない。そう思うようになって、皆の笑顔を見たいから管理局に入る事にしたんだ」
 そうか。なのはさんは望んで魔法の力を手に入れたわけじゃなかったんだ。
 それなのに、色々と苦しい想いをしてきて……
「わたしは魔法に出会ってよかったと思うんだ。そのおかげで色々な人達と出会う事が出来たし、
大切な人達を守る事も出来る。子供の時の夢じゃないけど、今はこの力でたくさんの人達を守り
たいっていうのが、わたしの夢かな?」
「なのはさん……」
 あなたは、どうしてそこまで……
「あっ! でも、もう一つ夢があったんだ」
「えっ! 何なんですか?」
 たくさんの人達を守る事以外の夢って何なんですか?
「にゃははっ……」
 なのはさんは、何も言わず私の方を見て照れているだけで、一体何なのだろう。
「なのはさん。もったいぶらないで教えてくださいよ」
 含みを持った言い方をされて気にならないはずはない。
 なにより、なのはさんの事だから余計に……
「えっとね――」


「な、なななな……」
 何を言ってるんですか? あなたは――
「だからね……ティアのお嫁さんになるのが、わたしのもう一つの夢なんだよ……」
「――――――――っ!?」
 そ、そんな……なのはさんが私のお嫁さんになりたいだなんて、これは夢の中の世界じゃないでしょね?
「……もしかして、ティアは嫌……?」
 心配そうに私の顔を覗き込む。
「そ、そそ、そんな事無いですよ!」
 なのはさんと結婚出来るのなら、それは天にも昇るような嬉しさだ。
「そ、その……私でいいんですか?」
 他にも素敵な人達は沢山居るのに私を選ぶなんて……
「わたしは、ティアがいいんだよ」
「なのはさん……」
 私を選んでくれてありがとうございます。
 まだまだ未熟な私ですけれど、何時の日か絶対にあなたを攫いに来ます。
 それまでは、待っていて下さい。

『うん……待っているよ。いつまでも……』
 その言葉を胸にしっかりと刻み日々努力を重ねてきた。
 そして――

「なのはさんお待たせしてすみませんでした。約束通りあなたをいただきに参りました」
「うん、ありがとティア……」
 あの日なのはさんが語った夢。そして、私も一緒に共有した同じ夢。
 こうしてその夢を果たす事が出来た。
 想い続けた夢だから叶った時の喜びは果てしなく大きい。
 見続けた夢だから叶った。
 だから私はもう一つ夢を想い続けよう。
『最後まであなたを幸せにすると――』

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