自分で選んだこの道。
 色んな出会いで手に入れたこの力。
 少しでも沢山の人達のために使いたくて……
 でも偶にはゆっくり休みたい時もある。しかし、今の私にはそんな暇は無く、
 自分の想いを貫くために少しでも多く働かないといけない。
 それが私に出来る唯一の事だから。

 始まります。


「ん……あぁ……相変わらず仕事が多いなぁ〜」
 一人山積みにされている書類に対して愚痴る。
「分かってた。分かってたけど……」
 さすがにこんな量を毎日こなすのは大変やな。
 それでも私は頑張ってこの仕事をこなす。それが私の役目やしな。
『ほんと、はやてちゃんは頑張りすぎなんだから』
 疲れからだろうか、一瞬なのはちゃんの声が聞こえた気がした。
 うん、なのはちゃんならホンマにこんな台詞を言いそうやな。
「ははっ。なのはちゃんの方が人一倍頑張ってるやん」
 疲れてテンションがオカシクなったのだろう、独り言のようになのはちゃんの幻聴に話しかける。
「それに、なのはちゃんの乳の揉みごたえも最高やしな♪」
『も――っ! はやてちゃん』
 怒ったような彼女の声が可愛くて、
「はぁ……こんな独り言他の人に聞かれたら恥ずかしくて、死んでしまいそうや」
 溜息交じりに天井を見上げる。
 それにしても、たった数日なのはちゃんの顔を見て無いだけで、こんなにも寂しいもんなんやな。
 私がこうして忙しいように彼女も彼女で色々と忙しいのだ。だから余計に会う事も少ない。
「なのはちゃんの声……聞きたいなぁ……」
 こんな事言っても声が聞けるわけじゃないけど、言わずにはいられなかった。
「大丈夫だよ。はやてちゃん」
「え……?」
「大丈夫。わたしはここにいるよ」
「な、なのは……ちゃ…ん?」
 あり得ないと思う気持ちと、いて欲しいと思う気持ちの中その声のした方向に振り向く。
「ほんと、はやてちゃんは頑張りすぎだよ……」
「あ………」
 その言葉は私がさっき聞こえた幻聴……
「い、いつから居たんや?」
 気恥ずかしさから咄嗟に話を切り替える。
「ずっと前かな?」 
 とぼけるような言い方で、
「ど、どれくらいの?」
 ただ私が焦るのを楽しんでいるかのように、
「う〜ん……『ん……あぁ……相変わらず仕事が多いなぁ〜』て、所ぐらいかな?」
「ほとんど最初やん!?」
 一気に恥ずかしいという想いが込み上げてくる。それと同時に一つの疑問が……
「な、なぁ……なのはちゃん。さっき私が聞こえた幻聴って……」
 恐る恐る聞いてみる。
「もちろんわたしだよ」
「な、なななな、な………」
 一気に顔が熱くなっていくのが分かる。
 ま、まさかあの幻聴が本物のなのはちゃんやったとは……
 恥ずかしさから頭を抱えていると――――
 ふわっ
「え……?」
 一瞬何が起きたか分からなかったけど、少しして理解した。
 私は今彼女に抱き締められている。
「はやてちゃん。頑張るのは別に構わないけど、無茶はダメだよ……最近のはやてちゃん無理しすぎて
ろくに寝て無いんじゃないの?」
「そ、それは……」
 おもいっきり図星だった。
「夢のために頑張るのはいいよ。でも、少しは周りに甘えてほしいかな。周りに甘えるのが無理なら
せめて、わたしには甘えて。じゃないと、はやてちゃんいつか壊れちゃうよ……」
 彼女の抱きしめる手に力が入る。
「なのはちゃん……」
「わたしは、はやてちゃんの事が大好きだから、はやてちゃんには無理をしてほしく無いの。だからわたしには
遠慮なんかしないで」
 無茶や無理をしてるのは、なのはちゃんの方やんと言いかけて言葉を飲み込む。
 だって、なのはちゃんの真剣な瞳を見たら余計な事は言わない方がいいと思ったんや。
「うん。ごめんな……なのはちゃん」
「大丈夫だよ。はやてちゃんのためだから」
 何で、なのはちゃんの優しい想いはいつも真っ直ぐでこんなに心地ええんやろうな。
 私も少しくらいは、肩の力を抜いてもいいんかもしれんな。
 だって、近くにこんな素敵なパートナーがいるんやしな。
 彼女の想いを返すように私もなのはちゃんを抱き締める。

「なのはちゃん。私も大好きやで」
「うん♪」 
 その時のなのはちゃんの満足そうな笑顔はきっと忘れないと思う。
 それくらいに眩しかったから……

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