幼い頃にした約束。
 その約束は、ほんの冗談のような約束で守る必要の無い物。
 だけど、もしその約束を覚えていてくれたのなら……

 始まります。


「なのはままー」
「なぁに? ヴィヴィオ」
「えっとね〜ヴィヴィオね〜大きくなったら、なのはままと結婚するんだぁ〜」
「そっか♪」
「うん!」
「じゃぁ、約束だよ……」
「うん約束〜♪」

 懐かしい夢を見た。
 なのはママと暮らすようになって、初めの頃に言った言葉。
 別にその約束を忘れていたわけでは無いけど、こうして夢に見ると少し恥ずかしい物がある。
 私は一度も忘れて無かったけど、なのはママの方はどうなのだろうか?
 覚えているかは分からないけど、一応まだ誰とも付き合ったりしていない。
 一番可能性がありそうだったフェイトさんでさえ、なのはママと付き合う事は出来ないでいた。
 私としては嬉しいんだけど、実際の所はどうなのだろうか? 私との約束を覚えているから? それとも、ただ私の事が心配で
まだ誰とも付き合う事が出来ないとか?
 普通に考えると私の事が心配だからだと思うんだけど、少しくらいは期待をしていたい。
『ねぇ、なのはママ……何で誰とも付き合わないの?』
 そんな想いを巡らせながら、なのはママと顔を合わせたせいか、つい口を滑らせて聞いてしまった。
「なのはママはどうして誰とも付き合わないの?」
「え……?」
 言った瞬間に後悔はしたけど、もう言ってしまったことは取り返す事は出来ない。
 だから、半ば自棄にありながら言葉を続ける。
「わ、私もそろそろいい年齢だし、なのはママは誰かと付き合ったりしないの?」
「……ヴィヴィオは誰かと付き合ってほしいの?」
「そ、そんな事――」
 そんな事あるわけが無い。誰にもなのはママを渡したく無い。でも――
「う〜ん……こんな事を言うのは少しズルイかもしれないけど、わたしはずっと待っているんだよ」
「ま、待つって……?」
 その言葉で今朝の夢を思い出す。
「ヴィヴィオからのプロポーズかな?」
「あ…………」
「ただの冗談みたいな約束だったけど、わたしはとっても嬉しかったから」
 ちょっと泣きそう……まさかなのはママがあの時の約束を真剣に覚えていてくれたなんて……
「ヴィヴィオの気持ちはもう変わってしまってるかもしれないけど、わたしはヴィヴィオの事愛しているから」
「なのはママ……」
 気持ちが変わってしまっているなんて、そんな事無いよ。私はいつだって、なのはママの事を愛しているのに。
「なのはママ――」
 私は自分の気持ちを伝えるように、なのはママを抱き締める。
「わ、私はなのはママが……いや、なのはさんが大好きです。愛しているんです。だから……だから、私と結婚をしてくれませんか?」
 言った……私の気持ちの全てをぶつけた。
「ヴィヴィ……」
「な、なのはママ――!?」
 私の告白を聞いた瞬間、なのはママが大粒の涙を流しながら泣きだした。
「ご、ごめんね……嬉しくて……恥ずかしいかな?」
「そんな事無いよ……」
 でも、出来れば笑っていてほしいかな?
「うん……こんなわたしだけど、これからも宜しくね」
「うん♪」

 幼い頃の約束。
 お互いにその約束を覚えていて、今日その約束が果たされた。
 だから今ここで新たに一つ約束するよ。
「絶対に幸せにするからね……」

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