我儘のようで我儘じゃない。
 甘えているようで甘えていない。
 普段からもっと素直に君の気持ちを出していいんだよ。
 そう……今の君のように……

 始まります。


「な、なのは……」
「何かな? フェイトちゃん♪」
「えっと、その……」
「ん?」
 何て言えばいいのだろうか?
 聞きたい事は決まっているけど、どういう風に切りだしていいかが分からない。
 とても簡単な事のはずなのに……
「な、なのはは、どうして……」
「フェイトちゃん?」
「どうして、何で……こんな事をしている……の?」
 朝からずっと私に抱きついて……
 抱きつかれるのは嫌じゃないんだ。私もなのはに抱きつかれるのは嬉しいんだけど、
 だけど、訳が分からないんだ。
 普段のなのはは、こんな事をしない。
 基本的に行動を起こすのは私だから。
 だから、なのはのこの行動は珍しすぎるんだ。
「……わたしがこんな事をするの、変……かな?」
 少し、ほんの少しだけ、なのはが悲しそうな表情を浮かべる。
「へ、変じゃないよっ! ただ珍しいって思っただけで――」
 決して、なのはの行動は変じゃない。それだけは自信を持って言える。
「そう……かもしれないね。でも、わたしにだって甘えたい時があるんだよ」
「なの……は」
「ただの我儘だし、フェイトちゃんには迷惑をかけるかもしれないけど……」
「いいんだよなのは」
「フェイトちゃん」
「私は、なのはに甘えられてとても嬉しいんだから」
 他の誰でもない。私だけを頼ってくれている。その事実がとても嬉しいんだ。
「だから、どんどん甘えてほしいし、我儘を言って欲しい」
 きっと、そんななのはも可愛いから。
 だから不安そうな顔をしなくていいんだよ。
「ねぇ、なのは。君の素直な気持ちを私にぶつけて欲しい」
「フェイトちゃん……ありがと」
「どういたしまして。なのかな?」
「にゃははっ♪ どうなんだろうね」

 ああ。君は笑顔が一番素敵だ。
 君が私に我儘を言ったり、甘えたりするだけで君が笑顔になるのなら、いくらでも我儘を
言って欲しい。甘えて欲しい。
 君の笑顔が私の生きる意味だから。

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