人間というのは不思議な生き物だ。
 あの態度の何がいいというのだろうか?
 ワタシとしては、どうも怒られているような錯覚に囚われる。

 始まります。


「なのはお茶の用意が出来ましたよ」
「べ、別に用意なんかしなくたっていいんだからね」
「はぁ……?」
 ワタシは今何かおかしな事をしたのだろうか?
 確かになのはにお茶を準備するようには言われていなかったが、こういう事は今までに
何度もあった。それなのに何故今回に限って――?
「な、なのは……」
「お茶を用意してもらって嬉しいなんて思ってないんだからね」
「え、えっと……」
 なのはは、口では文句を言いつつもワタシの用意したお茶を飲んでいる。
 一体どういう事なのだろうか? なのはの言動と行動が矛盾しているような気がする。
「何よレイジングハート文句でもあるの?」
「そういうわけではないのですが……」
 何故ワタシが怒られているのだろう?
「言いたい事があるならハッキリと言いなさいよね。わたしは別にレイジングハートの
言葉を聞かないなんて言ってないんだから」
「でしたら……」
 なのはの一連の言動について聞いてみよう。
 ワタシには一体何の目的でなのはがそういう事を言うのかが分からないから。
「今日のなのはは何処かおかしいと思うのですが、一体何があったのですか?」
「わたしがおかしいって具体的に何処が?」
「その……言動が何時もと違うのですが……」
 言い方にトゲがあるんです。聞いているだけで怒られている気分になる。
「う〜ん。レイジングハートはこういうのは嫌いかな?」
「……嫌いと言うより怖いですね」
 なのはには常に笑っていて欲しいのに、ワタシが何か怒らせるような事をしたのではない
かと心配になる。
 このままでは、なのはに嫌われてしまう――と。
「そっか。やっぱりわたしにはツンデレキャラは無理なのかな」
「……ツンデレ?」
 どういう意味の言葉なのだろうか? 会話の流れから推測するに先ほどまでの、なのはの
話し方のようなものがツンデレというのだろうか。
「アリサちゃんのツンデレが可愛いから、わたしもやってみようと思ったんだけど」
「ああ」
 アリサ……彼女の名前を出されて何となく理解をした。
 確かに先ほどのなのはは、彼女のような感じだった。
 しかし――
「わたしにはどうも似合わないみたいだね」
「そうですね」
 あの感じは、なのはのイメージからかけ離れていると思う。
「あー酷いよレイジングハート。わたしだって一生懸命やってみたのに〜」
 なのはが可愛く頬を膨らます。
「いえ、そういう意味ではなくて……なのはは普段のままの方が可愛いですよ」
「……ほんと?」
「ええ。ワタシは向日葵のような、なのはの笑顔が一番だと思います」
 本当に。なのはの笑顔に勝てるようなものは何一つ無いと思う。
「えへへっ♪ ありがとレイジングハート」
「どういたしまして……でいいのでしょうか?」
「にゃはは♪」
 ああ……やはり、なのはは普段のままがいと思う。
 変な事を考える必要は無い。
 ただそこで笑っていてくれるだけでいいんだ。
 それだけで幸せになれる。
 それが高町なのは。ワタシの一番大切な人。

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