ふと、考えてしまう事がある。
 出来るだけ考えないようにしているけど、それでも考えてしまう。
  なのはさんにとって私はどういう存在なのだろうかと。

 始まります。


 

「はぁ……」
 私は一体何をやっているんだろう?
 少し優しくされて舞い上がってミスをして……
 あの人は全員に優しい人なのだから、私だけを特別扱いしてくれているわけでは無い。
 それなのに私は――
「ダメ。ダメよ」
 考えてはダメなのよ。考えてしまったら想ってしまったら、私はダメになる。
 それに結局私は選ばれないのだから。
 想えば想う程心が痛くなるだけなんだから想ってはいけない。
 こんなんじゃ私はいつか――
「ティ〜アナ♪」
「―――――――っ!?」
「どうしてティアナはそんなに思い詰めた表情をしてるのかな?」
「なのはさん……」
 急になのはさんに話しかけられて驚いてしまった。
 ちょうど彼女の事を考えていたから驚きは普通より大きい。
「ねぇ……何か悩みでもあるの?」
「そ、それは……」
 いくら驚いているとはいえ、普通の精神状態なら何か適当な事を言って、誤魔化すことも出来たはず
なのに、今はそれが出来ない。
「わたしじゃ頼りないかもしれないけど、教えて欲しいな」
「あ、あの――なのはさん。そ、その――」
「ん?」
「さ、先ほどから胸が当たってます……」
 名前を呼ぶと同時になのはさんに抱きつかれていたのだ。
 だから頭の中が真っ白になってしまったのである。
 それに、こんなスキンシップは初めてだったから。
「わたしは気にしてないよ?」
「私が気にしますって……」
 大好きな、なのはさんの胸なのだから気にならないはずがない。
 ただ背中越しに当たっているだけなのに、それだけで心臓がうるさいくらいに鳴る。
 今すぐにでも倒れてしまいそうだ。
「う〜ん。ティアナがお話をしてくれたら、離れるかもしれないよ?」
 小悪魔のような笑みを浮かべてそんな事を言う。
 普段の笑みも素敵だけど、こういう笑みを素敵だと思ってしまうのは、重症なのかもしれない。
「話をしたら、本当に離れてもらえるんですか?」
 出来る事ならずっとこのままがいいけど、それだと私がその内倒れてしまうだろう。
 そんな恥ずかしい姿は見せたくないので、ここは我慢をしよう。
「離れると思う……よ?」
「何で疑問形なんですか?」
「ふふ……なんでだろうね?」
「分かりませんよ」
 気持ちが分かれば苦労はしませんよ。
「む〜ティアナには少し難しいのかな?」
「どういう意味ですか?」
「ティアナがもう少し自分に素直になってくれたら、分かるかもしれないよ」
「素直に……?」
「分からないならいいよ……今はただ、なのはさんが戯れている。そう思ってていいから」
 この時なのはさんの声が少しだけ震えていたような気がしたのは、気のせいなのだろうか?

 あの後なのはさんは、すぐに仕事に戻ってしまった。
 結局私は、なのはさんに遊ばれていただけなんだろか?
 だけど、あの時の言葉が気になる。
『分からないならいいよ……今はただ、なのはさんが戯れている。そう思ってていいから』
 この言葉の真意が。

 ねぇ、なのはさん。私は一体どうしたらいいんですか?
 早くこの想いを断ち切った方がいいのですか? 
 それとも、未練がましく想い続けた方がいいですか?

 教えて下さいなのはさん。

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