昔からなのはママは、よく私の頬にキスをしてくれる。
 これはきっと、なのはママなりの愛情表現なんだと思う。
 けど、昔はよかった行為も今となっては、少々危険で………
 あと、数センチ場所がズレるだけで唇に届く距離なのに、その数センチが遠くて、
 自分から近づく事が出来無いことがもどかしくて、
 何か事故でも起きて唇に当たらないかなとか思ってしまう。
 なのはママは私のこんな気持ちをどう思うだろうか? そんな不安ばかり募る。

 では始まります………


「ヴィヴィオお休みなさい」
「うん。なのはママ」
 チュッ!
「―――っ!?」
 私にお休みのキスをして満足したのか、なのはママは早々とベッドの中へと潜る。
 昔は私も何とも思わずに一緒にベッドの中へと入っていたのに、今はそれが気恥ずかしい。
 いや、違うかな。近づき過ぎると自分が抑えられないからかな。だから、なのはママから少し離れて寝る。
 なのはママはそれを悲しく思っているみたいだけど、ごめんね。これもなのはママのためだから。
 私も少し離れてベッドの中へと潜る。

「すぅ………すぅ………」
 ベッドに入り暫くすると、なのはママの規則正しい寝息が聞こえる。
 なのはママの寝顔を見ていると、ほんとになのはママは綺麗なんだと思い知る。
 普段の凛々しいママも好きだけど、この油断しきった顔も堪らない。
「……なのはママ………」
「……すぅ……」
 なのはママの寝顔を見ていて、つい邪な感情が湧きあがる。
 い、今なら唇にキスしても……大丈夫だよね?
 気づかれないように、そっと近づく。
 ………ごくっ。
 いざ、なのはママの唇を目の前にすると緊張してしまう。
 なのはママの唇って、こんなに美味しそうだったんだ……
「……なのは……さん」
 思い切って、なのはママの唇にキスを――――っ!?
「ヴィヴィオ?」
「な、なのはママ!?」
 後数センチという所で、なのはママが目を開ける。
「ヴィヴィオどうしたの?」
「え、えっと……あの………」
 キスをしようとしていましたなんて言えるわけが無い。
 何とか言い訳を考えようとしていると、
 チュッ!
「――――――っ!?」
「あれ? ヴィヴィオはキスがしたかったんじゃなかったの?」
 完全にバレている。しかも、い、今唇にキスを―――
「なんだか最近のヴィヴィオ、よくわたしの唇を見ているからキスしてほしいのかなって……ヴィヴィオ?」
 唇にキス……キス……唇にキスだよ……
 なのはママが何かを言っていたけど、正直私はそれどころじゃ無かった。
 そんな混乱している私の意識を引き戻したのは――――――
 なのはママのキスだった。

「ヴィヴィオ落ち着いた?」
「あ、うん……」
 なのはママのキスで正気を取り戻した私は今何故か、なのはママの膝枕で寝かされていた。
「あ、あのね、なのはママ――――」
 なんとか言い訳を言おうとして、なのはママに止められる。
「ヴィヴィオ……キスがしたかったならちゃんと言って。ヴィヴィオはわたしにとって世界で一番大切な人なんだから、
それくらいのお願いはいつでも叶えてあげるよ」
「………なのはママ」
「全然遠慮する事なんて無いんだよ」
 その言葉を聞いて安心する。なのはママはちゃんと私の事を受け入れてくれた。
 その事がとても嬉しくて……
「じゃ、じゃぁ………もう一度キスを………」
 とても恥ずかしいけど、ちゃんとキスのお願いをする。
「ふふ……っ。いいよ」
 そして今度は偶然でも不意打ちでも無い、正真正銘の唇と唇のキスだ。

 今までは遠かったこの距離も無くなって、私はなのはママの唇を手に入れた。
 もう絶対この距離は空けさせない。ずっと、ずっとなのはママの唇は私だけの物だから。
 みんな覚悟しててよね♪

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