時空管理局で働いているなのは。
 まだ大人じゃなく普通……とはちょっと違うかもしれないけど、ただの子供のなのは。
 学校と仕事を両立する日々。
 それが、どれくらいキツイのかは想像する事しか出来ないけど、なのはは決して弱音を吐かない。
 あたしの前でくらいは弱音を吐いてくれてもいいんだけどね。
 それでもやっぱり、なのはは言わないんだろうな。
 だって、それが高町なのはだから。
 あたしが好きで大切で、一番失いたくない人だから。

 始まります。


「すぅ……すぅ……」
「気持ちよさそうに寝ちゃって……やっぱり疲れてたのね」
 せっかく一緒の時間を過ごせると思ったのに、部屋に来てそうそうと寝ちゃった時は、本気で怒ろう
かと思ったけど、こうして寝顔を見ているとそんな気分も失せてくる。
 本当はたくさん話して、たくさん触れ合っていたいんだけど、なのはが疲れてるんなら休ませてあげたい。
 なのはは他人に心配をかけるのを嫌うから――
 きっと完全に休まる時はないんだろう。
 だから、せめてあたしの前でだけは休ませてあげたい。
 何の気兼ねも無くただゆっくりと――

「……ぅん……あ、あれ……?」
「なのは。起きた?」
「あ、あれ? アリサちゃん……?」
 まだ完全には意識が戻ってないみたいね。不思議そうになのはが、あたしの顔を見ている。
「覚えてないの? あんたは、あたしの部屋に来てすぐに寝ちゃったのよ」
 少しだけ意地悪をしてみたくなった。
 この事実は黙っててもよかったし、なのはにあまり負担をかけたくもない。
 それにせっかく、ゆっくりと休めたのならそのままがいいんだろうけど、やっぱり多少の意地悪は
仕方が無いわよね。
 だって、なのはの寝顔を堪能は出来たけど、やっぱり少しだけ寂しかったしね。
 もうちょっと構って欲しかったのよ。
 だから――

「あたしを放っておいてすぐに寝るなんて酷いわ」
「え、えっと、その……」
「……あはっ。あははははははっ♪」
 うろたえるなのはが、あまりに可笑しくて笑ってしまう。
「あ、アリサちゃん?」
「大丈夫よ。全然気にしてなんかいないわよ。それに、なのはも疲れてたんでしょ?」
「だ、だけど――」
「それに、なのはの可愛い寝顔を堪能する事が出来たしね♪」
「にゃ――――っ!?」
 あたしの言葉になのはの顔が一瞬にして真っ赤に染まる。
 あたし自身も恥ずかしい事を言っているのは自覚してるけど、それでもなのはの寝顔が可愛かった
のは事実だから、その気持ちを伝えたかったから、正直に言ってみた。
「さ、なのは。あたしにもっと可愛い顔を見せて」
「にゃっ!? にゃにゃにゃっ!?」
「……なんてね。冗談よ冗談」
「も、もう……っ!」  

 不器用なやり取り。
 でも、これでなのはも少しは気を抜く事が出来たかしら?
 ゆっくり寝て、気を抜いて、
 これで明日からも頑張れるわよね?
 また忙しい日々が始まるだろうけど、頑張ってねなのは。
 そして疲れたら、またあたしの所に来なさい。
 完全に癒す事は出来ないかもしれないけど、それでも――

 世界で一番大好きな、あなたに何かをしてあげるから。

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