とん、と倒れされてベッドに横になる。何か私に甘えたいのか、それとも肌を重ね合いたいのか。
 こんな風になのはちゃんが私を倒すのは珍しい。
 真剣な顔で倒れた私に覆いかぶさるようにしてくるなのはちゃん。
 なのはちゃんの長い髪が私の頬を掠める。それが少しだけくすぐったい。
 本当に今日のなのはちゃんはどうしたのだろうか? 真剣な顔で思い詰めたような瞳を浮かべ――
 人の心の中なんて分かるわけもないから、結局は問いかけるしかないわけで……

 始まります。


「なの……はちゃん? どうかしたんか?」
「ねぇ、はやてちゃん。気付いてるかな?」
「な、何をや……?」
 何に気付いてるって言うんや? 思考をいくら巡らせても答えに辿り着かない。
「わたしね……はやてちゃんのこと心配してるんだよ? たくさん、たくさん心配してるの……」
「う、うん……」
 なのはちゃんが私のことを心配してる。それは私も分かってる。そして私もなのはちゃ
んと同じくらい、なのはちゃんのことを心配してる。
 そんなこと今更言わんとも理解しとるよ。
「分かってないよ。こんなにも心配してるのに、はやてちゃんったらまた無茶をしてるよね?」
「……ぅ」
「きちんと自分の身体を大切にしてって言ったよね? それなのに、はやてちゃんったら
また無茶をして自分を追い込んでる」
「や、そ、それはその……なんと言うか――」
 仕方がないという状況で……わ、わざとやないんよ!? 色々と必要なことをしてたら、
自然とこうなってしまってただけで……
「言い訳なんて聞きたくないよ」
 じわじわと顔を近づけてくるなのはちゃん。普段なら、その行為も嬉しいんやけど怒り
を露わにしてる今の状況のなのはちゃんにされるのは少し怖い。
「はやてちゃんに夢があるのも目標があるのも分かってるよ。でも、それを達成する前に
身体を壊したら意味がないよね?」
「せ、せやな……」
「だから今日、はやてちゃんにはお仕事を休んでもらうね」
「そ、それは――――んむっ!?」
「ん……っ、んちゅ、んぁ……っ。文句なんて言わせないよ。今日はお休みなの」
 無理やり私の唇を奪い身体を抑えつけてくる。
「は、はは……これじゃ休みたくても休めないんやけど……」
 このまま、なのはちゃんに身体を貪られたら余計に体力を消耗してしまう。それでは休
むことなんて出来ない。
 無理やり仕事を休ませておいて、疲れさすのは間違ってるやろ。
「大丈夫だよ。別にエッチなことをするわけじゃないから。まぁ、はやてちゃんがどうしても
って言うんだったらエッチなことをしてもいいけどね」
「……遠慮させてもらいます」
 別になのはちゃんと肌を重ねるのが嫌なわけと違うよ。ただ今のなのはちゃんとソレを
したら後悔するような気がするんよ。主に体力的な意味で……
「そっか……だったら、きちんとお休みをしてもらわないとね」
「えっと……なのはちゃんは仕事は?」
「わたし? もちろん、わたしもお休みだよ? はやてちゃんから目を離したらすぐに仕事
をしそうだし、きちんと見張っていないとね」
「…………全然、信用がないんやね」
「当たり前だよ。だってはやてちゃんだもん」
 なんとも悲しい返答。しかしな、そんなこと言うなのはちゃんも信用できんからな。
 すぐに無理ばかりして自分の身体を壊す。前科がある分、なのはちゃんの方が信用値が低いんやからな。
「はやてちゃん。もしかして失礼なこと考えてる?」
「は、はは……ソンナコトナイデ」
「……だったらいいけど」
 やはり、なのはちゃんは妙なところで鋭いな。こりゃ、マジで今日は一日休まなアカンみたいやな。
「ほんま、なのはちゃんは強引やな」
「強引なのは、はやてちゃんにだけだよ。はやてちゃんだから強引にいくの。ここまで強引
にいかないと、はやてちゃんは無理してでも働くから」
「まいったね、これは」
 本当になのはちゃんには適わない。特に今日のなのはちゃんには。
「分かった。今日は一日、大人しくしとくよ」
「うん。ありがとはやてちゃん」
 先ほどまでの恐い雰囲気はなくなって一気に優しい雰囲気になる。普段通りの優しいなのはちゃんに。

「それじゃ、もう暫くはゆっくりとしてよ♪」
 私と同じように横にゴロンと寝転がり腕に抱きついてくる。
「……そうやね」
 本当は、今日も色々と片付けないけない仕事がたくさんあったんやけどね。
 ほんま、仕方ないな。あぁ、本当に仕方がない。
 なのはちゃんにここまでされたら休むしかないんやから……今日は一日きちんと休んで
明日からまた頑張るとしようかね。
 なのはちゃんに心配されない程度に。

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