あんたが此処から離れて、長い月日が経った。
 同じ季節を何度も繰り返した。
 あんたは別の世界の人間になってしまって――だけど、定期的には連絡は取れ。
 本当に短い時間だけど、同じ時間を過ごす事も出来てはいる。
 だけど、やっぱり心配なのには変わりはなくて、
 出来る事ならずっと、この手に捕まえておきたかった。

 無理なのは分かっている。
 でも、それでも――望まずにはいられない。
“ずっと、ずっとこちらの世界に居て欲しいと”

 始まります。


「どうしたのアリサちゃん? 何だか悲しそうな顔をしてたよ」
「別に何もないわよ」
「そう……?」
「ええ。そんなことより、今は二人の時間を楽しみましょ」
「うん♪」
 なのはと二人っきりの時間。
 なかなか一緒の時間を過ごす事は出来ない。
 だから今はこの時間を一生懸命楽しもう。
 不安や恐怖はあるけど、それでもなのはに心配をかけたくはないから。
 自分の我儘を抑えつけ、精一杯の笑顔でなのはに接しよう。

 そう心がけてたのに――

「あ、アリサちゃん――っ!?」
「ご、ごめんなのは……あたし、あたし……」
 我慢をする事が出来なかった。
 なのはの前で情けなく涙を流してしまった。
 心配そうな顔をしてる。あぁ、分かってた。分かってたわよ。
 だから我慢してたのに――
「わたしじゃ役に立たないかもしれないけど、教えて」
「……ごめん」
 言えない。言えるわけないじゃない。
 あたしの我儘で、なのはの夢を壊すなんて出来ない。
 だから、だから――
「本当に何でもないの」
「アリサちゃん……」
 だけど――
「ごめん、なのは。今は、今だけは――」
「アリサ……ちゃ……」
 せめて、抱き締めるくらいはいいよね。
 これくらいの我儘は許されるよね?
「しょがないなアリサちゃんは……」
「ごめん」
 優しい笑みを浮かべて、なのはも抱き締めてくれる。
 幸せ。幸せだけど、この時間もいずれは終わってしまう。
 また、なのはは戻らないといけないから。
 束の間の幸せ。
 それを感じれるのだから、あたしは充分幸せだ。

 だから、“あの言葉”だけは心に仕舞っておこう。
 きっとなのはには、バレバレなんだろうけど、それでも黙っておこう。
 それがあたしに出来るなのはへの愛だから。

inserted by FC2 system