子供達に夢と幸せを運んでくれるサンタさん。
 クリスマスが近づくにつれ、子供達は彼等にお願いごとをする。
 だから私もサンタさんになろうと思ったんだ。
 残念ながら子供のお願いを叶える事は出来ないけど、
 大好きなあの人の願い事くらいは叶えられると思うから。
 今夜だけはあなただけのサンタさんで――

 始まります。


「メリークリスマスだよ。アリサちゃん」
「め、メリークリスマス……すずか」
 今日は年に一度のクリスマス。
 子供達は夢と期待に胸を膨らませ、恋人達は愛を語らう。
 そんな素敵な日だから――
「アリサちゃん。今日という日を楽しもうね」
「そ、そうね……楽しむのはいいけど、その、何でそんな格好をしてるのよ?」
「そんな格好……?」
 改めて自分の姿を見る。うん、特に問題は無いと思うけど……
「な、何でサンタの格好なんかしてるのよ!?」
「クリスマスだからだよ」
 折角のクリスマスなんだから、こういう格好も悪くは無いと思うんだけどな。
「しかも……何でそんなに服の丈が短いのよ?」
「可愛いから?」
 それに短い方がアリサちゃんが喜ぶかなって思って。
「い、いい、意味が分からないわよ!」
「そんなに難しい事じゃないと思うんだけどな〜」
「クリスマスを過ごすだけなら普通の格好でもいいじゃない」
「それはダメだよ……」
「何で……?」
「私はサンタさんになりたいから。それもアリサちゃんのためだけのサンタさんに」
 他の子供に夢や希望を与えるサンタじゃなく、ただ一人の大切な人のためのサンタ。
「あ、あたしのためだけのサンタ……」
「そう。私だから出来るアリサちゃんのためだけのサンタさんなの」
 世界で一番あなたを愛している私だから出来る事それは――
「だからアリサちゃんにプレゼントを渡すね」
 他の誰でもない。アリサちゃんにしか渡せないプレゼント。
「……私の初めてを貰って下さい」
「す、すずか……何を言って……」
「私の身体をアリサちゃんだけの物にして欲しいの。そして出来る事ならずっと側に――」
 これでは、まるで私がプレゼントを望んでいるみたいかも。
 でも、これだけは譲れない。このプレゼントだけは。
 それに私もサンタの格好をしているとはいえ、一応はプレゼントを貰ってもおかしくはないしね♪
「だから、私の初めてを貰って欲しいの」
「すず……か」
「アリサちゃん」
「はぁ……ほんと、仕方が無いわね。今更嫌って言ってももう遅いんだからね」
「うん。ありがとアリサちゃん」

 クリスマスの夜、私はとても素敵なプレゼントを貰いました。
 私が彼女に何かをあげる事が出来たかは分かりませんが、彼女は喜んでくれていたと思います。
 だって、あんなに素敵な笑顔を見せてくれていたのだから。

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