日が落ちるのが早くなり、寒さを肌で感じるようになってきた季節。
 こうしてちょっと外に居るだけで、身体が冷たくなってくる。
 手足が冷え、本当に辛い季節。私はあまりこの季節が好きではないのだけれど――

 始まります。


「……はぁ」
 外での待ち合わせ。別に何時間も外で待っているわけではないのに、もう身体全体が
冷たくなってきている。もう少し屋内で待っていればいいんだけど、あの人を待たせたく
ないから。だから代わりに私が外で待っている。
「そろそろ……かな?」
 時間を確認し、辺りを見回す。私が待っているあの人。
 なのはさんが姿を現してくれないのかと……
「ティ〜アナ♪」
「ひゃぅっ!?」
 不意に頬に冷たいモノが触れる。
「にゃははっ♪ ティアナごめんね? 待たせちゃったかな?」
「な、なのはさん……っ!?」
 声のした方を振り向くと、悪戯の成功した子供のような嬉しそうな笑みを浮かべたなのはさんがいた。
「ごめんね? 待たせちゃったよね」
「い、いえ……そんなことないですよ」
 私があなたのことを想って、勝手に先に待っていただけですから。ですから、なのはさんが
謝る必要なんてないんですよ。
「ところで、私の頬に触れたのって……」
「にゃはっ、ちょっと手が冷たくなってたから悪戯しちゃった♪」
 ほんとに無邪気に笑うなのはさん。普段の綺麗で凛々しい姿とはまた違った姿。
 見知った人間にしか見せないそのギャップがとても可愛らしい。
「もう、なのはさんは……」
「ごめんね?」
 そう言って、手を差し出してくるなのはさん。聞かなくても分かる。これは手を繋いで欲しいのだろう。
「今回は許してあげます」
 そう応え、なのはさんの手を握る。
「……温かいね」
「そうですね……」
 外は冷たく寒いのに、手を繋いでいるこの部分。この部分だけは温かい。
 寒い季節は嫌いだけど、こんな風になのはさんの温もりを感じれるのは嬉しい。
 だから嫌いなのに好きという訳の分からない気持ちだ。
「それじゃあ行こうか」
「はい……」
 手を繋ぎ、なのはさんと暗くなっていく道を歩く。
 心と身体に小さな温もりを感じながら二人で……  

 ずっと、どこまでも。

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