私だって自重の心は持ち合わせている。
 でも、でもね……そんな私でも我慢が出来ない時だってあるんだ。
 だって、それほどまでに君は素敵だから………

 始まります……


「フェイトちゃんのバカァ―――――――――ッ!」
 平穏な六課の中にただ事では無い言葉が響き渡る。

「それで……一体何事なん?」
 苦々しい顔をしながらはやては、事の真相を当事者の二人に問う。
「そ、それは………」
「全部フェイトちゃんが悪いのっ!」
「な、なのは。だからあれはね……」
「ふんだっ! 知らないよもう」
 フェイトの焦りようになのはの怒りよう。何となく予想がつくが一応聞いてみる。
「フェイトちゃんは一体なのはちゃんに何をしたん?」
「そ、それは……」
 

 フェイトによる回想――
「う、ん………っ……」
「あ、フェイトちゃん起きた?」
「なのは……」
 朝、いつものように目が覚めるとエプロン姿のなのはがいて、
 その姿はさながら天使のようで、
 すぐに眠気も吹っ飛んでしまい……
 ある衝動に駆られたんだ。
「な〜のはっ♪」
「きゃっ!」
 つい、なのはのお尻を触ってしまったんだ。
 なのはは突然の事に驚いていたけど、こんなのは普段のスキンシップと何ら変わらなくて、でも
この日は普段とは少し違った。
「ふぇいとまま……なにしてるの?」
 そう、ヴィヴィオが見ていたのだ。いや、まだこの時はよかったのかもしれない。
 この後の私の行動がマズかった。
「ふふ……なのはヴィヴィオに見られて感じてる?」
「なっ!?」
「……ふぇいとまま……」
 ほんと、何であんな言葉を言ってしまったのだろうか? それは未だにわからない。
 きっと誰かの陰謀なのかもしれないと思ったくらいだ。
 それにしても、この時のヴィヴィオの呆れ顔は暫く忘れそうに無い。むしろトラウマになりそうだった。
 そして、この言葉が完全になのはの逆鱗に触れてしまったのだろう。あの台詞だ。
 まぁ、娘にあんな所を見られて、感じてるなんて言われたら誰でも怒るよね。
 それが今回の事の顛末だ。

「そりゃ全面的にフェイトちゃんが悪いわ」
「うっ……」
「ここまで酷いと何もフォロー出来へんし、あまり変態なのもどうかと思うで」
 言いたい放題言われているが、誰がどう考えても悪いのはフェイトなので、何も言い返す事が出来ない。
「まぁ、何が起こったのかは分かったし、もう戻ってもええよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。はやて」
 思ってた通りくだらない内容だったので、そうそうに切り上げようとするとフェイトが、涙目になりながら
はやてにしがみつく。
「わ、私を見捨てないでよ。なのはの機嫌を直すの手伝ってよ」
「何でよ? なのはちゃんの機嫌が悪いのはフェイトちゃんの自業自得なんやから自分でどうにかしい」
「そ、そんな……はやて!」
 必死で引きとめようとするフェイトを無視してはやては、自分の部屋へと戻って行く。
 そしてその場に残された二人はというと――
「あ、あの……なのは……?」
「何ですか? 変態フェイト執務官」
「うっ………」
 余程怒っているのか、あえてフェイト執務官と呼んでいる。しかも変態呼ばわりもしている。
「な、なのは……お願いだから機嫌を直してよ。なのはのお願いなら何でも聞くから」
 土下座でもしかねないような勢いで謝る。
「何でも聞くの?」
「う、うんっ! 何でも聞くよ!」
「………だったら」
 なのはは、暫く思案した後―――
「今後暫くおさわり禁止ね」
「なっ!?」
 フェイトにとって死刑にも等しい罰を言い渡される。
 この時フェイトは心のどこかで、エッチなお仕置きを期待していたとか……
 しかし、現実は違って――
「何でも聞くって言ったよね?」
「う……い、言った……けど……」
「けど?」
「う、ううん。言った。確かに言ったよ」
 何とか食い下がろうとするフェイトを鋭い眼光で一蹴する。
「じゃ、今後暫くおさわり禁止ね♪ フェイトちゃん」
「……うん」
 何とか機嫌は直ったけど、その代償はとても大きくついてしまった。
 この日フェイトさんは、自身の愚かな行動に涙したとか……

inserted by FC2 system