「…………え、何コレ」
 開口一番、そんな言葉が飛び出してきた。
 もう少しマトモな台詞を言うことが出来たらよかったけど、さすがにこの惨状を見ると別の言葉は出てこない。
 間違いなくさっきの台詞が一番状況に合っている言葉だから。
「あ、美香だぁ」
 私の呆れるような声に反応して一つの声があがる。
「望。あんたなんて恰好してんのよ」
「えへへ……だって暑いんだもん」
「暑いって……暑いのは同意するけど、その恰好だけはないわよ。せめてもう少しマシな恰好しなさいよ」
「むぅ〜りぃ〜」
「はぁ……」
 呆れてしまうような望の恰好。それは何も身に着けない――つまり全裸という恰好だった。
 部屋に遊びに来ていきなり全裸を見せられたら、あんな台詞も出てしまうでしょ?
 最悪風呂上りだとかなら分からないでもないけど、見た感じそんなわけでもなさそうだ。
 望の言葉から考えるに、あまりの暑さに服を全部脱いだってわけね。
「望。お願いだから下着くらいは穿いてちょうだい」
「えぇ……それでも暑いんだもん〜」
「暑いならクーラーをつけるか、扇風機でもつけなさいよ」
 窓を全開で開けるのもいいけど、ここまでダレるのならクーラーか扇風機をつけた方がいい。
 別に望自身、エコ精神を持っているってわけでもないんだから……
「それに、この恰好凄く楽なんだよ?」
「楽ってあんた……」
 全裸のまま、ゴロゴロと床を転がっている望。
 本当にその恰好は勘弁して欲しい。望自身の沽券に関わるというのもあるけど、一番は私に問題がある。
 全裸で――そして無防備な姿の望。
 ここには私と望の二人しかいない。
 そんな状況に長い時間いたら我慢をすることが出来なくなってしまう。
 欲望を抑えることが出来ずに望に襲い掛かってしまう。だから一刻も早く望には普通の恰好をして欲しいのだ。
「ね、望。お願いだから着替えて」
「いや〜」
「本当にお願いだから!」
 必死に頼み込んでいく。望とそういう状態になるのはいいんだけど、個人的にはムードとかを気にしたい。
 こんな我慢が出来ずに襲い掛かるのはちょっと情けないから。もう少しいいムードの中でエッチなことをしたいの。
 だから――
「も〜何でそんなにも美香は口うるさいのぉ?」
「私は当たり前のことを言ってるつもりなんだけどね」
「だってここ、わたしの家だもん。だからどんな恰好してても関係ないはずだよ?」
「うぐぐ……」
 そう言われてしまうと辛い部分があるけど、私にだって譲れない所はある。
 もう本当に限界が近いから。いつ望に襲い掛かってもおかしくないような状態だから。
「あっ、もしかして美香ってわたしの身体を見て興奮してる?」
「んな――っ!?」
「やっぱりそうなんだぁ♪ あはっ♪ エッチなことしたい?」
「う、うぅう……うぁ」
 ニヤニヤとムカつく笑みを浮かべながら望が私を挑発してきている。
 全裸でクネクネと身体を動かしてる。エッチな所が直接私の視界に入ってきてる。
「いいよ? エッチなこと、したいんでしょ?」
「…………ッ」
「一緒に裸になろ? 裸になって暑いのを忘れよ?」
「……」
 もう、いいのかな? もう我慢しなくてもいいのかな?
 望も誘ってきてるし、ハッキリ言って我慢の限界なの。
 ムードを大切にしたいけど、湧き上がる欲望には――性欲には勝つことが出来ない。
「望……」
「美香っ♪」
 スルスルと服を脱いで裸になる。望と同じ全裸に。
 そして私と望は外のうだるような暑さを忘れる程に身体を重ね合わせていくのだった。
 何度も何度も何時間もずっと……

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