ポチポチ。カチカチ。
 私の隣からボタンを押している音が聞こえる。
 メールを打って送信をする。そうすることで私の携帯にメールが届く。
「ひー子。何であんたはわざわざメールで会話をしようとするかな」
 私の隣に座っているのに、わざわざメールを送ってくるひー子。
 隣にいる私に話しかければいいのに、メールを送ってきている。
 別に声が出ないわけでも普通に会話をすることが出来ないわけでもないのに、わざわざメールを送ってきているのだ。
「もう……」
 ひー子に文句を言いながらも一応の確認をする。携帯を開いて送られてきた内容を確認する。

”頭撫でて……優しく撫で撫でして?”

 頭を撫でて欲しい。そんな内容のメールだった。
 本当に一言で終わるような内容のメール。そんなモノを言葉ではなく文字で送ってきたのだ。
「ひー子。それくらいならメールじゃなくてもいいでしょ」
「…………」
 ぽちぽちぽち。
 私が指摘をしても変わらずひー子は文字を打っている。そして送信。
「今度は何……」
 どんな内容の文字を打ったのかを確認する。
 今度は何を書いてきたのやら……

”わたしのこと、嫌い?”

 メールの内容を見てひー子のことを見ると、目をうるうると潤ませながら私のことを見ていた。
 今にも泣きそうな、そんな顔。凄く庇護欲をそそるような顔で私のことを見てきていたのだった。
 ひー子にそんな顔で見られたら私には文句を言うことも拒否をすることも出来ない。
 ひー子の頭に手を伸ばして、優しく優しく撫でていく。
「嫌いなわけないでしょ。好きに決まっているじゃない」
「んっ、んゅ……あっ♪」
 小さく吐息を漏らしていくひー子。
 目を細めながら凄く嬉しそうな顔をしてる。
 さっきの泣きそうな顔から一転して幸せそうにしているのだ。
 そんな顔を見せられたら、もっともっと撫でてやりたくなってしまう。
 そうしてひー子の頭を撫でていると、また携帯を持ってぽちぽち、と文字を打っていく。
 そろそろ文字じゃなくて言葉で会話をしたいんだけどね。
 まぁ、とりあえずはひー子から届いたメールの内容を確認しよう。

”気持ちいいよ。やっぱり頭を撫でられるの好きぃ♪”

「喜んでくれるのは嬉しいけど、偶には言葉で言ってくれてもいいのよ?」
 と、いうより私としては言葉で――ひー子の口から直接台詞を聞きたいと思っている。
 メールでも気持ちは伝わるけど、やっぱり声の方が気持ちが伝わると思うの。

”メールじゃダメ?”

「ダメじゃないけどやっぱり――」
 喋ることが出来るんだから普通に会話をしたいなって思うから。
「……」
 じぃー、と私を見上げてくるひー子。
「はぁ……別にいいわよ。ひー子の思うようにしなさい」
 ひー子の言葉では聞きたいけど、無理強いはよくないわよね。
 今はこうして、ひー子と一緒にいることが出来るだけで満足するとしましょうか。
 色々と情けなく妥協しながらひー子の頭を撫でていく。
 頭を撫でて幸せな時間を噛みしめていくとしましょうか。

”ありがとっ。大好きだよ♪”

 まぁ……ひー子からこんな内容のメールをもらったことだしね。
 一先ずは満足しましょう。

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