「ヴィータちゃ〜ん♪」
「うぉっ!? な、なのは!?」
「にゅふふ〜♪」
 スリスリと身体を寄せてくるなのは。普段からこいつは何かと、あたしに抱きついたり
してくるが今日のなのはは、普段と違う印象を受ける。
 それが何かは分からねーが、何かがおかしい。
 具体的に言うことは出来ねーが、とにかくおかしいんだよ!

 始まります。


「ヴィータちゃ〜ん♪ えへへ……っ、ヴィータちゃん♪」
 主人の帰宅にはしゃぐ犬のように、あたしに擦り寄ってくるなのは。もし仮に、なのは
に尻尾があればはち切れんばかりに尻尾を振っているだろう。
「おい、なのは」
「ん〜? 何かなヴィータちゃん」
「なんか今日はやけにスキンシップが激しいけど、なんかあったのか?」
 今日のなのはのスキンシップは、普段と比べると格段にうざったい。
 いや、別になのはにこうされるのが嫌だってわけじゃないけど、理由が気になる。
 だって、普段はもう少し大人しいスキンシップなんだぞ? それなのに、抱きつくだけ
じゃ飽き足らず頬までスリスリと擦り付けてくるだなんて、異常だろ。だから、その理由を聞きたいんだけど……
「むぅ〜ヴィータちゃんは、こうされるの嫌?」
「い、嫌じゃねーけど……」
「にゃははっ♪ よかった。じゃ、もう少しぎゅーってさせてね♪」
「お、おう……」
 こんな風にはぐらかされてしまう。なんつーか、上目遣いで瞳をウルウルと潤ませるのはズルいと思う。
 なのはに、あんな顔で見られたら何も言えなくなっちまうよ。
 全身に感じるなのはの柔らかい感触。ふわりと香る甘い匂い。そして、耳元で聞こえる
小さな吐息。それらが、あたしの思考を狂わせる。
 あ〜、えっと……あたしは何を考えていたんだっけ? 何を必死にしようとしていたんだ?
よく分からなくなってきた。
「ヴィータちゃん♪」
 子犬のように甘えてくるなのは。そして、それをニヤけた表情で受けとめるあたし。
 なんかよく分かんねーけど、これはこれでいいような気がしてきた。
 甘えるなのはに、受けとめるあたし。
 もう、それだけでいいじゃねーか。これはこれで妙に幸せを感じるんだからいいじゃねーか。
 うん、そういうことにしておこう。それが一番いいはずなんだ。それ以外には何もないんだ。
「ヴィータちゃん♪ ヴィータちゃん♪」
「ったく、しゃーねーな。あたしがもっと甘えさせてやるよ」
 精一杯甘えることの出来ないお前にあたしが特別、甘えさせてやるよ。
 なのはが心の底から満足するまでな。
「ありがと、ヴィータちゃん♪」
「おう」
 なのはがおかしい。そう思っていたが、どうやらあたしもそれなりにおかしかったようだ。
 だって、こんなにも甘えてもらって嬉しいって思っちまってるんだから。
 ほんと、互いにおかしいんだろうな。
 でも、結局は本人達がいいって思ってるんだからどうなっていようが関係ないんだ。
 そう、あたしとなのは満足しているのなら……
 おかしいかもってことは、割とどーでもいいことなんだよな。

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