何であたしは今こんな状況になっているのだろうか?
 昔からそうだった。彼女は偶に突拍子も無い事を平気でする。
 だからって、何でこんな……

 始まるわよ。


「にゃぁ〜にゃぁ〜♪」
「……す、すずか……」
「にゃぁ?」
 何これ? さっきからずっとこんな調子で、猫の鳴き真似をして何なの?
 しかも、ただ鳴き真似をしているだけじゃなくて、その……すずか自身の格好も……
「にゃぁ〜♪」
 ず、ズルイ! ただでさえすずかは可愛いのに、猫のコスプレまでするなんて、直視出来ないじゃないっ!
「にゃにゃ〜」
 スリスリ
「うっ……!」
 まるで本物の猫のようにすずかが、すり寄って来る。
 な、何だろう……? 今どうしようもなく、すずかの喉元をごろごろしたいこの衝動は……
 で、でも今ここで心の赴くまま行動してしまったら、負けのような気がする。
 だけど―――
「にゃぁ〜ん」
 すずかも負けじとあたしを誘惑してくる。
 え……? これって、そんな勝負なの? 自分で言ってておかしくなってるような……
 必死で衝動を我慢しているあたしなんかお構いなしに、すずかの行動はどんどんエスカレートしてくる。
 そしてあたしは、見てはいけない物を見てしまった。
「ぶ――っ!」
「にゃぁ?」
「な、何でも無い。何でも無いの」
「にゃぁ……」
 まさかすずかの下着がバッチリと見えてしまうとは……
 あそこまで完全にすずかの下着を直視したの初めてだから、変に動揺してしまったわ。
 それにしても、すずかも何の抵抗も無く下着を見せてくるとは、後一つ何か決定打を浴びたら完全に落ちるわね。
 少しだけ期待しつつも、負けたくないという気持ちがあたしを満たす。
 しかし、そんなあたしの気合いなんか無視して――
「にゃっ♪」
 チュッ!
「な―――――っ!?」
 い、いい、今キスされなかった?
「にゃぁ〜〜〜」
 チュッ!
「―――――――っ!?」
 再びキスをされる。しかも今度は唇に直接……
「にゃ〜」
 すずかが妖艶な笑みを浮かべながら、あたしの事を見つめる。
 あ〜もうっ! わかったわよ! あたしの負けよ! 
 あたしの負けを認めるんだから、その分のお礼はさせてもらうからね。
「すずか……」
 仕返しにキスで返す。
「あ、アリサちゃん……」
「すずかが悪いんだからね」
 そう、すずかが可愛いのが悪いのよ。
 だから――
「すずか大好きよ」
「うん……」
 そのまますずかを押し倒す。  

 その日、彼女達の部屋から甘い声が鳴り響いていた。
 まるで猫が鳴くような声で……

inserted by FC2 system