時に芽生える悪戯心。
 今回も悪戯をしてやろうと思って取った行動。
 そのはずなのに……

 始まります。


「ねぇ、はやてちゃん。まだ起きてる?」
「…………」
「ありゃ? もう寝ちゃったのかな」
「………」
 実はまだ寝ていなかったりする。このまま起きてなのはちゃんの相手をするのもええんやけど、
ちょっとした悪戯心が芽生えてしまったので、軽く無視をしてみる。
 一体なのはちゃんはどういう行動を取るのか、気になるところだ。
 そのまま寝てしまうのか。または私が寝ているのをいいことに、何かエッチな事をしたりするのだろうか?
 内心ワクワクしながら、なのはちゃんを薄目で見る。
「ふふ……寝ちゃったんだね」
 そう、優しく微笑みながら私の頭を撫でる。
「ほんと、はやてちゃんは可愛いね」
 ―――――――――――っ!? 
 予想外の言葉に心臓が一気に跳ねる。
 危うく起きてしまう所だった。
「こんなに小さいのに……」
 なのはちゃん。小さいっていうのは余計やと思うで。
「なのに、皆のためにこんなに頑張って強いな。はやてちゃんは」
 なのはちゃん?
「わたしなんて、はやてちゃんが側にいてくれないと何も出来ないダメな人なのにね」
 少し自嘲気味に笑う。
「はやてちゃんは、きっとわたしが側にいなくても大丈夫なんだろうね」
 そんな事あるはずが無い!
 そう大声で否定したいのに、下手に寝たふりをしているせいで言う事が出来ない。
 だったら、今すぐ起きればいい。そう思うんやけど、起きる事が出来ない。
 もっと、もっとなのはちゃんの本音が聞きたいから。
 たぶん私が起きてしまったら、本音を聞く事は出来ないだろう。
 なのはちゃんはそういう人だから。いつも肝心な所は隠してしまう。自分一人で抱えてしまう。
 何時かは私に対して本音で言えるようになって欲しいんやけど、今は無理かな。
 だから、なのはちゃんの本音が聞ける今は大人しく寝たふりをしておこう。
「こんなわたしだけど、もし……はやてちゃんがボロボロで疲れているのなら、頼りないわたし
だけど、少しくらいは頼って欲しいな。弱音を聞かせて欲しいな」
 なのはちゃん……
「はやてちゃんは、いらないって言うかもしれないけど、はやてちゃんが傷ついていく姿は見たくないから。
だから、ほんの少しわたしに痛みを分けて。悲しみを分けて」
 寝たふりをしないといけない。そう思っていたのに……
「なのはちゃんに、全部分けたる。全部分けたるよ」
 いつの間にか身体が勝手に動いていた。
「は、はやてちゃん!?」
「私かて、なのはちゃんが側にいないとダメなんや」
 何時でも私を勇気付けてくれる。そんな君が側に居るから私は戦えるんや。
「にゃはは。ありがとね、はやてちゃん」
「せやからなのはちゃん――」
「はやてちゃん……もう遅いから寝よ」
「あ、うん……」
 肝心な所ではぐらかされてしまった。
 やはり、なかなか彼女の本音を聞く事が出来ない。
 今回言った事は、ほんの一部だろう。
 彼女の言った言葉。そっくりそのまま返してやりたい気分やわ。
 もっと私に頼ってくれてもええやん。もっと痛みを悲しみを分けてくれてもええやん。
 いつもいつも、肝心な事は言わんで――ほんまに、
「はやてちゃん。大好きだよ……」
「…………はぁ」
 まったくこのお姫様は、もう少し弱みを見せてくれてもええのにな。
 今度はちゃんと正面から弱みを見せてもらうからな。
 寝ている私に対してではなく、ちゃんと真正面から。

 せやから、覚悟しときや。なのはちゃん。

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