「……」
「…………」
「……」
 じぃー、と先ほどから私を見つめてきているなのは。私なんかを見つめていても面白いことはないのに。
 それなのに、なのはは飽きずに私の事を見つめている。
 私は私で何か言葉をかけることが出来たらいいのでしょうけど、生憎そんな気の利いたことは出来ない。
 だから私も無言になってしまっている。
 言いたいこと。聞きたいことはたくさんあるはずなのに、何も言えなくなってしまっている。

 始まります。


「……」
「…………」
「――――っ」
 ふいっと、顔を逸らしてしまう。それ以上なのはに顔を見られたくないから。
 顔を見られるのが嫌というわけではない。ただ単に赤くなっている表情を見られたくないのだ。
 なのはに見られるのが恥ずかしくて、なのはの笑顔が眩しくて。
 だから顔を逸らしてしまう。恥ずかしがっているのを悟られないために。
「……えへっ♪」
 だというのに、なのはが回り込んでくる。回り込んではまた私の顔を眺めている。
 別に私の顔なんて見てもなにもない。それどころか私となのはは同じ顔だ。
 だからこそ、見ることに意味はないはずなのに……
「〜っ♪」
 なのはは嬉しそうに幸せそうに私の顔を見ている。
 何故? どうして? 何でそんな顔を浮かべることが出来るのだろうか?
「なの……は」
「うん? どうしたの?」
「何故なのはは、私の顔を楽しそうに見つめているのですか? 私と貴女は同じ顔なんですよ?」
 気になっていることを聞いてみる。
 本当は黙っているつもりだったけど、やはり聞かずにはいられなかった。
「う〜ん。確かに同じかもしれないけど、まったく同じだとは思わないな」
「そう、ですか?」
「うん。元は同じでもやっぱりシュテルちゃんはシュテルちゃんだし、わたしはわたしだと思うよ」
 確かに姿形は似ていても私となのはの思考は違う。本質的には似ていてもやはり何処かが違う。
 そこが見ていて楽しい。そんなことをなのはは言っている。
「それに何より、恥ずかしがっているシュテルちゃんが可愛いっていうのが一番かな♪」
 ペロっと舌を出す。ええ、やはり私となのはは違いますね。
 私がこんなことをしても可愛くはないでしょう。なのはだから可愛い、そんな気がします。
 ですが人の反応を見て楽しもうとしているのはいただけません。
「では、私もなのはの顔をずっと見ていましょう」
 だから反撃をしましょう。
 お互いにずっと顔を見続ける。恐らく私はこの戦いに負けるでしょう。
 しかし、それでもなのはの顔を見ることが出来るのならば、やはり意義のあることなんでしょう。

 さぁなのは。勝負を開始しましょう。

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