「はにゃ〜ん♪ やっぱり寒い時はコタツですね〜♪」
「そ、そうですね……確かに温かくて気持ちがいいですね」
「そうですよね〜♪ コタツの中に入ってると、気が抜けてしまって何も出来なく
なってしまいますよね……」
 ぬくぬくと気持ちよさそうな顔を浮かべているヴィヴィオさん。
 完全に気が抜けきっていて、だらしない顔を浮かべているヴィヴィオさんは、なんて
いうかその……物凄く可愛らしいです。
 ぷにぷにと触りたい衝動に駆られる。そんな感じの可愛さがあります。
 あぁ……触りたい。凄く触りたいです……

 始まります。


 コタツに入り、だらしない表情を浮かべているヴィヴィオさん。私も一緒にコタツに
入りぬくぬくとしているのですが、ヴィヴィオさんほど気を抜くことが出来ません。
 だって、隣でヴィヴィオさんがこんなにもだらしない顔をしているんですよ!?
 そんな状況で気を抜くなんて出来ないですよ。このヴィヴィオさんの可愛らしい表情。
 その表情の一つ一つを心の中に焼きつけていかないといけないのですから。
 ですから私は気を抜くことが出来ないのです。
「アインハルトさん? どうしたんですか? さっきからわたしの顔ばかり見てますが」
「あ、いえ――な、何でもないですよ!?」
 私がヴィヴィオさんの顔を見て和んでいるだなんて言えるわけがありません。
 ヴィヴィオさんの前では、私はシッカリとした人でいないといけないのですから。
「そうなんですか? あ、蜜柑食べます?」
「……いただきます」
 テーブルに置かれている蜜柑を手に取るヴィヴィオさん。ただ蜜柑を取るというだけ
の仕草なのに、それさえも可愛いと思ってしまいます。
 手に取った蜜柑の皮を剥き始めるヴィヴィオさん。そして――

「はい、アインハルトさん。あーんです♪」
「ふぇ……っ!?」
「あーん、です」
 皮を剥いた蜜柑をこちらに差し出してくるヴィヴィオさん。これはつまり、その蜜柑
を私に食べろと言うことですよね?
 ヴィヴィオさんが皮を剥いてくれた蜜柑を私が……
「あ、ああ……あーん」
「あーん♪」
 ぱくりと蜜柑を口に運ぶ。蜜柑を口の中に入れた拍子に少しヴィヴィオさんの指が
当たってしまい、心臓がドキドキしています。
 ヴィヴィオさんに蜜柑を食べさせてもらった。ヴィヴィオさんの指を舐めてしまった。
 そのことが頭の中をグルグルと回り、頭が沸騰してしましそうになる。
「美味しいですか?」
「え、ええ……」
「えへへっ♪ じゃぁ、今度はアインハルトさんがわたしに食べさせてください♪」
「な――――っ!? わ、私がですか!?」
 私がヴィヴィオさんに蜜柑を食べさせて、ヴィヴィオさんが私の指から蜜柑を口に
咥えるというのですか!?
「ダメ……ですか?」
「はぅ……っ!? そ、そんなことはありませんよ!」
 うぅっ、その顔はズルいですよヴィヴィオさん。ヴィヴィオさんに上目遣いで見られ
てしまっては断ることなんて出来ませんよ。
「い、いきますよ……」
「はい♪ お願いします」
「あ、あーん……」
「あーん♪」
 ぱくりとヴィヴィオさんが蜜柑を食べる。
「ど、どうでしたか……?」
「とっても美味しかったですよ♪」
 満面の笑みを浮かべるヴィヴィオさん。その満面の笑みを見て、私自身の顔がだらし
なく緩んでしまいそうですが、それをなんとか耐え――
「アインハルトさん。とっても楽しそうな顔をしてますよ」
「…………ぁ」
 ――どうやら耐えることが出来なかったようです。残念ながら私の顔はだらしなく
緩んでいるようです。
「やっぱりコタツに蜜柑の組み合わせは最強ですね〜♪」
「……そう、ですね」
 ですが、私にとってはヴィヴィオさんの笑顔。それが最強だと思いますよ。
 どんなものにも勝る最強の笑顔だと思います。

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