普段から凛々しくて可愛らしい人。
 何を着ても似合っていていつも私の心を乱す。ちょっとした仕草にドキっとさせられ、
見つめるような視線に心臓がうるさいくらいに鳴り響く。
 とにかく色々と反則なあの人は今日も私の心を乱してくる。

 始まります。


「な、なのはさん!? そ、その格好は……?」
「ん? これは着物だよ。久しぶりに見つけちゃって嬉しくて着ちゃった♪」
「着ちゃった……って」
 そんな理由で着ないでくださいよ。普段の見慣れた服装でもドキドキとしてしまう
のに、見慣れない格好をされてしまったら、私の心臓が持ちませんよ。
「にゃは、この着物可愛いでしょ」
「え、ええ……」
 着物も可愛らしいですけど、それを着ているなのはさんが一番可愛いですよ。
 何なんですか? そんな可愛い格好をして私をどうしたいんですか!?
 嬉しそうにクルクルと回ってみせてくれるなのはさん。着物に合わせてなのか、
今日のなのはさんの髪型はいつもと違う。
 普段の髪型も素敵だけど、今日の髪型も同じように素敵だ。
「どうしたのティアナ。顔が真っ赤になってるけど……もしかして風邪でも引いてる?」
 スッ、と顔を近づけて私の額に自分の額を合わせてくる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
 な、なな、なのはさんの顔が!? 唇が目の前にある!? なのはさんの吐息を近く
で感じることが出来る!?
「わわ、どんどん熱くなってきてるよ。びょ、病院とかに行った方がいいのかな?」
「だ、大丈夫です。大丈夫ですから……」
 別に風邪を引いているわけではないから、病院に行く必要はない。まぁ、ある意味
病気にはかかっているんだけどね。
 なのはさんのことが大好きで堪らないという病気に。
「む〜ティアナが大丈夫って言うのなら信じるけど……」
「……ぁ」
 不満気な表情を浮かべながら顔を離す。
 顔を離された瞬間に、もったいないなぁとか思ってしまっていた。だって仕方がない
じゃない。もっと近くでなのはさんを感じていたかったんだから。
 でも、もう一度顔を近づけて欲しいだなんて言えるわけもなく……私はただただ残念
そうな顔を浮かべていた。
「今日は部屋でゆっくりしてた方がいいのかな?」
「そこまで気を使ってもらわなくても……」
 本当に病気ではないのだから外に出ても問題はない。
「でもティアナはすぐ無理をしちゃうからなぁ……」
 それはあなたも同じですよ、なのはさん。
「なのはさんは心配しすぎですよ。私は大丈夫ですから外に――」
 いや、待てよ……この可愛らしい姿のなのはさんを外に出すのはちょっと……
 ただでさせ可愛くて他の人達を魅了しているというのに、こんな姿で外に出てしまっ
ては、また余計なファンを増やしてしまう。
 なのはさんが人気なのはいいけど、私の露払いが大変なので可能な限り抑えたい。
「今日は部屋でゆっくりとしてましょう」
「あ、うん……」
 この着物姿のなのはさんは私だけのモノにしよう。他の人の記憶に焼きつける必要
はないわよね。そう、私だけの思い出として……
「――っ、今一瞬ティアナから不穏な気配を感じたかも」
「ふふ、気のせいですよなのはさん」
 私があなたに不穏な気配を発するわけがないじゃないですか。
 ただ、あなたの可愛さに心が乱されているだけですよ。

 ええ。心が乱されているだけなんですから……ふふ♪

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