自身が守り続けた物は、ほんのちょっとしたミスでアッサリと失ってしまう。
 油断……慢心……その全てが命取りだった。
 守りたくて、誰にも渡したくない物。それを今日私は失ってしまった。
 自分の命をかけてでも守りたかった大事な物達。それを私は――

 始まります。


「うぅ……なのはちゃん堪忍やぁ……」
「もうっ! はやてちゃんはほんと、油断も隙もあったもんじゃないよ!」
 なのはちゃんが私の大切な物を抱えながら、私に文句を垂れる。
 私の大切な物……何年もの長い時間をかけて集めたなのはちゃんの数々の下着。
 それらが無情にもなのはちゃんに没収されてしまった。
 私が一生懸命集めたなのはちゃんの下着。小学生時代の頃から大人になった今までの
全ての時代の下着……それらが一瞬にしてなくなってしまった。
「何でや? 何でこんな仕打ちをするんや?」
 なのはちゃんの下着を集め観賞し、匂いや肌触りを堪能するという私の楽しみを
奪うやなんて、酷過ぎるでなのはちゃん。
「……人の下着を盗んでおいて、その言い方はないと思うんだけど……」
「ぬ、盗んでなんかないで! た、ただちょっと借りただけやもん!」
 そうや。幼いころからずっと借りてるだけやもん。せやから別に疚しいことなんて……
「わたしを好きでいてくれてるのは嬉しいんだけど、こんな愛され方はちょっと嫌かも……」
「うぅ……」
 だ、だって仕方ないやんか。なのはちゃんと二十四時間ずっと居るわけにはいかへんし、
かといって側に居ないのも寂しいし……せやから、なのはちゃんの下着でなのはちゃんの
温もりや匂いを感じてたんやもん。
「まぁ、とにかくこれは全部処分させてもらうからね」
「そ、そんなぁ!? それだけは! それだけは堪忍してや!」
 そんなことされたら、私の生き甲斐がなくなってしまう。ただ没収されただけなら、また
回収しなおせばいいだけ。しかし、処分をされてしまったらもう、回収することが
出来ない。そんなのは嫌や。小学生時代のお宝下着もあるっていうのに――それだけは堪忍して!
「ダメだよ……いくらはやてちゃんのお願いでも、これだけは許さないよ」
「そんな……」
 私の大事なコレクションを持って部屋から出ていくなのはちゃん。
 あぁ、さようなら私の大切な宝物達よ……そしてごめんな。私が不甲斐ないばかりに
こんなことになってしまって。
 そう、全ては私の油断と慢心が招いた結末。私がもっとシッカリしていたら……もっと
バレないようにひっそりと楽しんでいたらよかったのに。
 本当にごめんな、みんな。
 見えなくなった宝物達に手を合わせながら私は、その場に屈した。

「もう……はやてちゃんったら、どれだけガッカリしてるの」
「だって、だって……」
 私の宝物達を何処かへと持って行ったなのはちゃんが、部屋に戻ってくるなり呆れた
表情で私に声をかける。
「はぁ。仕方ないなぁ……」
 そう言って、優しく私を抱き締めるなのはちゃん。
「下着を盗んだりするのはダメだけど、ちゃんとわたしが側に居るから……だから
元気を出して、はやてちゃん」
「なのは、ちゃん……」
 でもな、やっぱりショックなものはショックなんよ。せやから――
「はやてちゃん!」
「な、何――んむっ!?」
「ん……んちゅっ、んは……っ、元気でた?」
「あ、あぁ……」
 ここまで情熱的にキスをされたんや、元気が出ないはずがないやろ。
 あぁ、うん。元気が出た。
 そうやな。いつまでもウジウジとしてられんわな。気を取り直してまた集めればええ。
 確かに幼い頃のレアな物はもう手に入らないけど、それでも今後の物は手に入れられる。
 それに想いを馳せながら、また大切な物を手に入れるために私は戦おう。

 今度は油断も慢心もせずに。

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