「ん、んぅ……ぁ」
 目が覚める。
 太陽の日差しが窓から注ぎ込んできている。
 目をパシパシと瞬かせながら時間を確認する。
「……もうすぐ夕方だ」
 時計に目をやり驚く。私の予想よりも長い時間眠っていたようだ。
 今日は休みだから問題はないけど、こんなに遅くまで寝ていたのは久しぶりかもしれない。
「なのは……?」
 まともに動いていない思考のまま、大事な人の名前を呼ぶ。
 私の隣で寝ていたはずの人。大好きで大切で大事な人。その人の名前を呼ぶけど――
「……居ない、の?」
 全くと言ってもいい程に反応がない。
 徐々に動き始める頭を働かせながら、辺りをキョロキョロと見回す。
 そして、同時に一つのことを思い出してしまう。
「そっか。なのはは仕事があったんだった」
 今日休みなのは私だけ。だから、なのはは仕事に行っているのだ。
「……冷たい」
 なのはが寝ていた場所を撫でるけど、温もりを感じない。
 ある程度の時間が経過していることで熱を失い、少しだけ冷たくなっている。
 私の前から消えたわけではなく、普通に仕事に行っているだけなのに。
 それだけのはずなのに、凄く泣きたい気分だ。
「寂しいよぉ」
 寝て、起きて。その時に側に誰も居ない。
 それがこんなにも寂しくて、悲しいことだとは思わなかった。
 初めてのことじゃないのに、今日は特別寂しいと思ってしまう。
「何でだろ……?」
 理由は分からない。だけど、凄く寂しい。
「なのはぁ」
 なのはの温もりを求めながら、その場所へと顔を埋める。
 意味のないことだっていうのは理解している。それでも、なのはを求めて行動してしまうのだ。

 始まります。


「ふっ、あ、あぁ……な、なのはの匂いがする」
 温もりはなくなっているけど、匂いだけはシッカリと残ってくれていた。
「なのは。なのは。なのはぁ」
 なのはの匂い。笑顔の似合うなのはに相応しいような、お日様のような匂い。
 嗅いでいるだけで心が温かくなるような、そんな匂いをしている。
「寂しい。寂しいよ、なのは」
 なのはの名前を――大好きな人の名前を何度も何度も呼ぶ。
「好き。なのはが大好き。愛してるんだ」
 愛の言葉を囁きながら、この場に居ないなのはを想う。
「は……んはぁっ、あぁぁ、はん、んぁ……あっ、あふぁ」
 自然とエッチな声が出てきてしまう。
 いや、声だけじゃない。指が下の方へと伸びていき、アソコに触れてしまっている。
「ダメ。こんなのダメなのに」
 シーツに残っている香りを嗅ぎながらオナニーをするなんて。
 そんなのはダメに決まっている。だけど、一度始めてしまったものを止めることは出来ない。
「もうダメ。最後までいかないと収まらないや」
 果ててしまうまで。達してしまうまでやらないと収まりがつかない。
 生理現象の一種だから悪いことじゃないんだけど、なのはには知られたくないことだ。
 知られたらエッチな子だと思われてしまうから。
 私の勝手な我儘なのは分かっている。でも、なのはの前ではカッコいい私で居たいのだ。
「あぁあぁぁ……気持ちいい。弄るの気持ちいい」
 くにくに、と何度も敏感な所を触っていく。
 触り続けることで、クチュクチュとエッチな音が鳴り始めている。
「あ、後で……後で下着とシーツを洗濯しないと……」
 このままいけば何事もなく使用することは出来ない。エッチな汁で濡れてしまうから。
「止めればいいんだけど、身体に火がついちゃってるから」
 誰も聞いていないのに一人で勝手に言い訳をしている。
「なのは。なのは。なのはぁ……」
 先ほどと同じように名前を呼んでいく。
 だけど、先ほどとは少しだけ意味合いが違う。
 先ほどのは寂しさを埋める為の言葉。だけど今は身体の疼きを静める為の言葉だ。
「ひぅぅぅ、あぁ、は……休みの日に寝起きでオナニーをするなんて……あっ、あぁぁっ」
 妙な罪悪感のようなモノがあるけど、止めることは出来ない。
 進むだけ。なのはのことを想いながらアソコを弄っていくだけ。
 いっぱい、いっぱい外も中も指でクチュクチュと弄り、トロトロになるまで掻き回していく。
「欲しい。なのはのが欲しいよ。なのはに弄って欲しい」
 この場に居ないのは分かっていても、求めてしまう。
 自分で弄るよりも、なのはに弄ってもらう方が気持ちいいから。
 エッチな音を鳴らして、だらしない顔をしていて説得力がないかもしれない。
 だけど、弄っているのがなのはなら、今以上のモノになってしまう。それだけは自信を持って言うことが出来る。
 だから、だから――
「なのはぁぁぁ。私にいっぱいエッチなことしてぇぇぇ」
 大きな声で叫ぶ。バカみたいだというのを知っていても叫んでしまう。
「一人でオナニーするの嫌だよぉぉぉぉ」
 求める。懇願する。お願いをする。
「あー、あははは……フェイトちゃんってば大胆、だね」
「……え?」
 聞こえるはずのない声が聞こえたような気がした。
 大好きで常に聞いていたい声だけど、今この時点では聞こえるはずのない声が聞こえて……
「なの……は?」
「う、うん」
「え? な、なん……で? まだ帰ってくる時間じゃ――」
「少し早く終わったから急いで帰ってきたんだけど……タイミングが悪かったね」
 なのはが申し訳なさそうな顔で私を見ている。
「あっ、いや――そのこれは、ええと……」
 言い訳をしないと。間違いなく手遅れだけど、それでも言い訳をしないと。
「ちょっと魔が差したっていうか……う、うぅ、軽蔑した?」
「ううん。軽蔑なんてしないよ。フェイトちゃんの恥ずかしい姿を見るのは初めてじゃないんだから」
 エッチな姿を見られるのは初めてじゃなくても、一人寂しくオナニーをしているのを見られるのは初めてだ。
 しかもしかも、最大級に情けない叫びも聞かれている。
 穴があったら奥深くまで入り込んで、そこで暮らしたいくらいだよ。
「ふふ……フェイトちゃんは可愛いなぁ♪」
「なの、なの……は?」
「中途半端で終わって物足りないでしょ? 続き……してあげる」
 そう言って、なのはが妖艶な笑みを浮かべる。
 あ。私このまま弄られてしまう。オナニーよりもエッチなことをされてしまう。
 えへ……えへへへっ♪
「嬉しそうな顔をしてるよ?」
「そんなことないよ?」
「嘘、だね。嘘吐きはお仕置きをしないとだよね」
「あ、あぁ……うん♪」
 お仕置きされてしまう。エッチなことをされてしまう。恥ずかしいことをいっぱい……
「たくさん可愛がってあげるね」
「うん」

 こうして私の休日は素敵な時間へと変わっていく。
 寂しくて、物足りない時間から、気持ちよくて満たされる時間へ。
 求め、求められ快感に浸っていく。
 次に日に支障をきたす程に、ね。
 だけど後悔はない。むしろ充実した気持ちしかない。
 最高の休日を過ごすことが出来たと思う。
 また次の休日もなのはと一緒に素敵な休みになるといいな。

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