母と娘。決して覆らない関係。
 別にこの関係が嫌なわけではない。この関係は私に居場所や安らぎを与えてくれた。
 私のお母さん――――なのはママ。
 世界で一番大切で大好きなあなた。私は娘で、あなたは母親。
 ねぇ、なのはママ。この関係が変わることってないのかな?
 私と恋人には……なれないのかな?

 始まります。


「はぁ……なのはママ……」
 なのはママが愛用している枕を抱きしめながら、愛しのあの人の名前を呼ぶ。
 枕に呼びかけても返事が返ってくるわけじゃないけど、それでも呼べば彼女が応えて
くれる。そんな気がして呼んでしまう。
「なのはママ……なのはさん……」
 母親ではなく恋人になって欲しい。親と子供の距離ではなく、恋人としての距離が欲しい。
 だけど、あなたはきっと私のこの想いには応えてくれないのだろう。
 あなたは、私のことをただの娘としてしか見ていないから。
 私とあなたの距離は変わらない。
 永遠に母と娘との距離。近くには居られるけど、決して交わることは出来ない。
 私はあなたに愛されてるし、幸せなんだろうけど。でも――

 私は親子としてではなく、恋人としてあなたと居たいのです。
「あぁ……なのはさん――」
 この想いを抱えながら……この想いを心の奥底に仕舞いながら日々を生きていく。
「苦しい。苦しいよ……」
 この想いを抱えて生きてくのは苦しいよ……
 だけど、私はこの想いを伝えることは出来ない。もし、伝えてしまったら今のままの距離感
でいられないから。だから私は想いを控える。
 恋人の距離になることは出来ないけど、親子としての距離ではいられるから。
 苦しい想いをしながら私は今日も笑顔を見せる。あなたに微笑んで欲しいから。
 でも私はあなたの頬笑みを見ると落ち込むのだろう。
 あなたの頬笑みは娘を見守る頬笑みだから。それを見てしまうと私達の距離感を見せつけられて
しまうから。
 だけど、私はあなたに微笑んでいて欲しい。
 こんな矛盾だらけの想い。娘でいたいけど、娘でいたくない。
 結局のところ私の想いは―― 

“なのはさん。あなたが好きなんです”
 この一言なんだろうなぁ。

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