言葉にしないと相手に伝わらない事もある。
 だけど、あたしは言葉で自分の気持ちを伝えられるほど口が上手くない。  

 始まります。


「ねぇヴィータちゃん……」
「なんだ?」
「今ヴィータちゃんは幸せ?」
「?」
 あたしが幸せかどうかだって? 何で今そんな事を聞いてくるんだ?
「教えてくれないかな?」
 真剣な眼差しで問いかけてくる。
 ふざけているわけでもなく、本当にあたしが幸せなのかを真剣に訊いている。
「別に不幸ではない」
 本当の気持ちを言うのが気恥かしくて微妙な答え方をしてしまう。
「もう……ちゃんと答えてよ」
 やはり文句を言われてしまった。
 それにしても何でそこまで拘るのだろうか?
 なのはが求める答えとは違うけど、物凄く間違っているわけでもない。だったら、そこまで
気にしなくてもいいんじゃないのか?
「不幸じゃないって言ってるんだからいいだろ!」
 バカみたいに声を荒げて文句を言ってしまった。
「ヴィータちゃん…………」
 いや、バカみたいじゃなくて完全にバカだよあたしは。だって、なのはがあんなにも悲しそうな
表情をしてしまっているんだから……
「な、なのは――」
「ごめんねヴィータちゃん。だけどわたしは、ちゃんと言葉にしてくれないと嫌なの。ちゃんと言葉で
わたしに伝えてくれないと不安で心が押しつぶされそうなんだよ」
 なのはの言葉にあたしは言葉を失った。
 まさかここまで、なのはが思い詰めていたとは思わなかったから。こんなにも不安にさせてたとは思わなかったから。
「悪かったよ」
 自分の想いを言葉にしなくて。
 自分の想いをなのはに伝えなくて。
 自分の想いを曖昧に誤魔化して。
 

「あたしは最高に幸せだよ」
 なのはが、あたしの側に居てくれてずっと微笑んでいてくれるんだから。
「今までで一番幸せな時間を過ごしているよ」
「……ヴィータちゃん」
「だから悲しそうな顔をすんなよ。お前がそんな顔をしてたら、あたしまで悲しくなるだろ」
「う……うん!」
 少しだけぎこちないけど、精一杯の笑顔をあたしに向けてくれる。
 やっぱり、なのはには笑顔が一番似合う。
「うん、笑顔のなのはが一番だよ」
「ヴィータちゃん♪」
 言葉にして伝えるのは恥ずかしいけど、これだけの言葉で喜んでくれるなら、何度でも言おう。
 

 この自分の想いを。

inserted by FC2 system