すずかの変な行動はいつものことだけど、
 さすがに今回は驚いたわ。
 てか、いつのまに準備をしていたのだろうか?

 始まるわよ。


「入るわよすずか」
「   」
「すずか?」
「      」
 おかしい。確かにすずかは部屋に居るはずなのに全然返事がない。
 自分から呼んでおいて、返事をしないっていうのはどういうつもりなのかしら?
 色々と問い詰めたいけど、結局の所部屋に入らないと何も出来ないわけで……
「勝手に入るけど文句は言わないでよ」
 あまり勝手に入るのは好きじゃないんだけど、今回は仕方が無いわよね。

 そういうわけで、すずかの部屋に入ったんだけど、すずかはあたしが入った事にも
気が付かずに何かを聞いていた。
 音楽……だろうか? 確証は無いけど、音楽プレイヤーを持っている所を見ると恐らく
音楽を聴いているんでしょうね。
「すずか、こっちを向きなさい」
 音楽に夢中になって、あたしの事を無視され続けられるのは寂しいので、強制的に
音楽を聴くのを中断させる。
「あれ? アリサちゃん。どうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ。いるんなら返事をしなさいよ」
 人を呼びつけておいて無視をする方がおかしいじゃない。
「ごめんねアリサちゃん。ちょっと聴き入ってたから……」
「どんなのを聞いてたのよ?」
 すずかがここまで聴き入るのは珍しい気がする。
「えっと、ね。これだよ」
 そう言ってすずかが、イヤホンを渡してくれた。
 そのイヤホンを付けた瞬間――

「な、ななな、な…………」
 ほんと、自分の耳を疑ってしまった。
 だってイヤホンから聞こえてくるのは――

『すずか愛してるわよ。誰よりも好きなの。もう他の誰にも渡したくないくらいに……』

「す、すずか……これって……」
 全身から嫌な汗が出る。
 すずかにこの質問をしてはいけないって、全身が訴えかけている。
 だけど聞かないといけない。
 だって、もうこの声を聞いてしまったら、聞かずにはいられないから。
「勿論アリサちゃんの声だよ」
 すずかが妖しく笑う。
「な、何で!? しかもこれ……」
 この前すずかとその……イチャイチャしてた時あたしが言った言葉じゃ……
「アリサちゃん恥ずかしがり屋だから、録音して毎日聴いてたんだよ」
 それ、理由としておかしいような――じゃなくて、
「いつのまにそんなの準備してたのよ!? あの時そんな準備する暇なんて無かったはずよ」
 それなのに、何で?
「ふふ……知りたい?」
 再び妖しく笑う。
「…………遠慮するわ」
 たぶんだけど聞いたら後悔するような気がする。
 何故だか分からないけど、そんな気がするの。
 そうよ。すずかの事だから普通に録音出来る状況にあったんでしょうね。
 あまり信じたくはないけど、そういう事なんでしょう。
 そういう事ならば、もうすずかの部屋で恥ずかしい事を言うのは止めよう。
 また録音とかされかねないしね。
 言っておくけど、あたしが普通にヘタレとかなんじゃないんだからね。
 あたしはただ、すずかには録音されたあたしじゃなくて、生のあたしを見て欲しいだけ
なんだからね。
 それだけの事なのよ。分かった?

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