こんな……こんなのは全然あたしらしく無い。
 何であたしが、すずかの行動にいちいちドキドキしないといけないのよ?
 こんなの絶対にあたしらしく無いんだからね!

 始まるわ。


「ねぇ、アリサちゃんここ間違ってるよ」
「わ、わかってるわよ」
 すずかに指摘された所を急いで訂正する。
 あたし達は今、学校の宿題を一緒にやっている。
 別にあたし一人でもすぐに終わるような宿題なんだけど、すずかが一緒にやりたいっていうから一緒にやってるんだけど……
「あ、また間違えてるよ」
 先ほどから何度もすずかに間違いを指摘されている。
 言っておくけど、これはあたしの頭が悪いんじゃないんだからね。勿論宿題が難しいわけでも無い。
 あたしの集中力を妨げる物があるのがいけないのよ。
 その、集中力を妨げる物は――
「す、すずか……その……」
「何かな? アリサちゃん」
「その……さっきからずっと胸が当たって……」
 そうなのだ。さっきからずっと、すずかの胸があたしの腕に当たっているのだ。
 大抵の事では集中力を乱さない自信はあるんだけど、すずかのこの行動はズルイわ。
 最近すずかの成長が著しいせいか、胸の方もスクスクと育っていって実に羨まし……じゃ、なくて実に性質が悪い。
 すずかも何でこんな動きにくい事をするのかは知らないけど、おかげで全然集中が出来ない。
「す、すずかも宿題しにくいでしょ? だから――」
 だから一刻も早く離れてほしい。
 そう言いかけて、すずかに遮られる。
「私は大丈夫だよ。それに――」
 そして、爆弾発言をしてきた。

「それに、これはわざと当ててるんだよ……」

 耳元で囁かれる言葉はとても甘美で、一瞬にしてあたしの頭は真っ白になっていた。
「もし、アリサちゃんが望むんだったら……」
 すずかは、恥ずかしそうに言葉を続ける。あたしはというと、未だに頭が真っ白になったままで、何も言えなかった。
 しかし、それも少しの出来事であって、すずかの言葉を遠くで聞きながら意識が段々と戻ってくる。
「アリサちゃんさえ求めてくれたら……」
「ストップ。すずか……あんたこれ以上先を言うとどうなるか分かってるの?」
 このまま、すずかの思い通りに進むなんて許せないわ。
「言っとくけど、あたしは優しくする自信なんて無いんだからね」
 強く言い放つ。本当は出来る限り優しくするつもりだが、イニシアチブを取るために多少力押しをする。
 そのあたしの言葉にすずかは、
「……うん。アリサちゃんだったら、どんな事でも大丈夫だよ」
 真っ直ぐ言い放つ。
「ふんっ! 後悔しても知らないんだからね」
「後悔なんてしないよ」
 こ、この娘は恥ずかしい事をさらりと……
 こんな一方的にすずかに言い負かされるなんて、ほんとあたしらしく無いわね。
 本当なら、もっとこう……何か言い言葉があるはずだわ!
「アリサちゃん……」
「何よ?」
 考え事をしていたせいか、一瞬だけ反応が鈍る。
「大好きだよ」
「な―――――――――――っ!」
 だから先にこんな事を言われてしまう。
 ほんと、あたしらしく無い。
 でも――
「アリサちゃんは?」
「あ、ああ、あたしだって大好きよ……」
 仕方ないか……これもすずかに惚れた弱みってやつなのかしらね?
 それでも、すずかにドキドキさせられっぱなしなのは納得いかないわね。
 何か方法が無いものかと考えながら、あたしはすずかにキスをする。
 すずかには絶対に勝てないと知りながらも、それでもあたしは探す。
 だって、悔しいじゃない。
 だから、いつかきっと――あたしの行動でドキドキさせてあげるんだからね!

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