初めは卑屈的な気持ちであなたを見ていた。
 でもあの日からその気持ちは少しずつ変わってきて、
 今ではあなたの事ばかり考えてしまっている。
 この気持ちを伝えられたら、どれだけ楽になるのだろうか?
  でもこの気持ちを伝える事は出来ない……

 始まります。


「あ………」
 暇を持て余していた私は、なんとなく夜の散歩に出かけていた。
 この散歩している時でさえ私は、あの人の事ばかり考えていた。
 今何をしているのか? どんなご飯を食べたのか? 何を着て寝るのか? 等など考え出したら
キリが無いくらいに想っていた。
 だからだろうか、散歩の途中でなのはさんの姿を目撃したのは。
 彼女に見つからないように後をつけて行くと、こんな夜遅くにも関わらずなのはさんは、トレーニングを始めだした。
 普段から忙しいく、休む暇も無いはずなのに寝る間も惜しんでトレーニングをするなんて……
 何でそんなに頑張るんですか? 
 管理局のエース・オブ・エースで皆に頼られているからですか?
  でも、そんなんだといつか倒れてしまいますよ。
 休める時は、少しでもいいから休んで欲しい。
 まだ彼女の足元にも及ばない私がこんな事を思うのは間違っているかもしれないけど、
 それでも少しは私達に……私に頼って欲しい。
 彼女に楽をさせたい。
 私はなのはさんから隠れるのも忘れて、言葉に出来ない気持ちを一人口にしていた。

「あれ、ティアナどうしたの?」
 だから、なのはさんに見つかってしまう。
 彼女の邪魔だけはしたくなかったのに、私を見つけたせいでトレーニングを中断させてしまった。
「もしかして、ティアナもトレーニングをしようとしてた?」
「あ、いえ、違います。少し散歩を……」
「そうなんだ」
 なのはさんは屈託のない笑顔で微笑む。
 ほんと、なのはさんの笑顔はズルイと思う。
 どんな気持ちになっていても、なのはさんの笑顔を見ればすぐに心が癒される。
 一人占めしたい笑顔。でもそんな事は出来るはずはなく……
 ただ、心の中で懇願する。
「そうだ。ティアナ、もしよかったら一緒にお茶を飲まない?」
「え、お茶ですか?」
「うん。ちょうど休憩しようと思ってたから、どうかな?」
 なのはさんによるお茶のお誘い。勿論断るつもりなんか無い。
 でも、ちょうど休憩をしようと思っていたのは嘘なのだろう。
 きっと私に気を使ってくれたのだろう。なのはさんはそんな人だから。

 お茶を飲みながら私は一つだけ、なのはさんに質問をした。
「あの、なのはさんはどうしてそこまで頑張るんですか?」
 別に頑張る事を否定しているわけじゃない。ただ――
「そんなに無理をして、いつか倒れるんじゃないかと心配なんです」
 あなたにはいつも元気であってほしいから。
「う〜ん……何でだろうね?」
 おどけながら少し悪戯っぽい笑みを浮かべる。
 そして――
「理由は色々あるけど、皆の笑顔が見たいからかな?」
 真剣な眼差しで理由の一つを語ってくれた。
「ティアナもいつか大切な人達が出来ると分かるんじゃないかな?」
「大切な人………」
 私にとって大切な人は……なのはさん。あなたです……
「ティアナ?」
「いえ、なんでもありません。今日はお話が出来てよかったです。では失礼します」
 私はなのはさんから逃げるようにその場を後にする。
 本当は、あの場であなたが大切な人ですって言いたかったけど、言う事が出来なかった。
 まだ私はあの人を守れる力が無いから……
 でも、でもいつかあなたを守れる力が身についたら、その時は――――

 あなたに宣言したい。
「あなたが大好きです」と―――

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