『……さよなら』
『もう二度と私に近づかないで』
『それじゃあ……高町さん』
 待って! 行かないで! わたしを置いて行かないでよフェイトちゃんッ!
『…………』
 あ、あぁぁあぁ……あ、あぁぁああぁぁああぁ。
 嫌ぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!?

 始まります。


「――――ッ!? あ、あれ……?」
 ここは何処? わたしは何をして……
「えっと……もしかして、夢?」
 凄く嫌な光景を見た。
 大切で大好きなフェイトちゃん。そのフェイトちゃんがわたしの側から居なくなる光景。
 他人行儀な言葉で、冷めた視線でわたしを見下ろしていた。
 そんなフェイトちゃんに対して涙を流しながら『行かないで』と必死に懇願しているわたし。
「夢、なんだよね? 現実のことじゃないよね?」
 もし、今のが現実の出来事ならわたしは壊れてしまう。
 自分自身でも気づかない内にかなりフェイトちゃんに依存してしまっているようだ。
「……フェイトちゃんは? フェイトちゃんは何処?」
 ふらり、と立ち上がってフェイトちゃんを探しに行く。
 さっきのが夢なら家の中に居るはずだから……

「フェイトちゃん。フェイトちゃ〜ん……」
 フェイトちゃんの名前を呼びながら家の中を歩き回る。
「……いない」
 全部。全ての場所を探したのに肝心のフェイトちゃんが居ない。
 何で? どうして? 何でフェイトちゃんが居ないの!?
「もしかして夢じゃなくて現実……?」
 嘘。嫌。そんなの嘘だよね? ただわたしが見つけることが出来ていないだけだよね?
 きっと家の何処かに居るんだよね?
「う、うぅ……フェイトちゃ……」
 また涙が出てきた。ぽろぽろと涙が頬を伝っている。
 もうダメ――あまりの悲しさからわたしは、その場に座り込んでしまった。
「どうして? どうしてなのフェイトちゃん……」
 必死に問いかけるけど、誰もソレには答えてくれない。
「う、うぅ……うあぁぁあぁぁぁあぁあっ!?」
「なの……は? どうしたの!?」
「え……?」
「何で泣いて。何か嫌なことでもあったの!?」
「ふぇ……フェイトちゃ……」
 フェイトちゃんだ。フェイトちゃんがいた。わたしの目の前にフェイトちゃんが……
「フェイトちゃん――ッ!」
「おっと。よしよし……大丈夫だよ。何があったのか分からないけど、大丈夫だからね」
「うん、うん……」
 フェイトちゃんの胸の中でまた泣く。
 大好きな人の温もりを感じながら涙を流し続ける。
 もう何処にも行かないでと訴えながら……

「――私がなのはの前から居なくなる夢を見て怖くなった、と」
「……うん」
「私がなのはの前から居なくなるわけないよ。嫌いになることもないし、ずっと大好きなままだよ」
「フェイトちゃん……」
 あ……また涙が出てきた。さっき十分過ぎる程涙を流して泣いたのに。まだ涙が零れてきてる。
 こんな姿見せたくないのに、それでも涙を止めることが出来ない。
「ふふ……っ。それにしても、なのはのこんな姿を見ることが出来るなんてね」
「だって――」
「少し席を外しているだけで寂しくて泣いちゃうなのはの為に、ずっと一緒に居た方がいいよね」
「ずっと一緒に」
「それそこお風呂やトイレなんかも、ねっ♪」
「……ばかぁ」
 ぽかぽか、とフェイトちゃんの身体を叩く。
「あははっ♪ 冗談だよ冗談。でも、出来る限りなのはと一緒に居るようにはするよ」
「うん。ありがとうフェイトちゃん」
「いえいえ。どういたしまして」
 ニッコリと満面の笑みを浮かべているフェイトちゃん。
 あぁ……フェイトちゃんがこうだからわたしは依存してしまうんだろうなぁ。
 でも、それがフェイトちゃんのいい所だし、こんなことをしてくれるのはわたしだけだから文句は言わない。
 それに――ずっとフェイトちゃんが側に居てくれるんだから文句を言うのはダメだよね。

 そう。この幸せが続く限りは――フェイトちゃんに捨てられない限りは……ね。

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