年に一度のクリスマス。サンタさんが一年間イイコにしていた子供にプレゼントを
配って回る日。子供が一番欲しいものを手に入れる日。
 つまり、クリスマスの日に限っては、多少の我儘が許されるってわけや。
 そう。多少の我儘はな。

 始まります。


「は、はやてちゃん!? 一体、何をするつもりなの!?」
 ジリジリと、なのはちゃんに詰め寄る。
「何って、それはなぁ……?」
「ひぅ!?」
 なのはちゃんが恐怖に怯えた表情になる。勿論、なのはちゃんに暴力とかを振るうつ
もりはない。ただ、少し私の我儘に付き合ってもらうだけや。
「なのはちゃん。これが何か分かるか?」
 なのはちゃんの目の前にある一つの荷物を出す。
「……袋に入ってるから分からないよ」
「せやったら、中を確認してもええよ」
 ニヤニヤと笑みを浮かべながら、なのはちゃんに荷物を渡す。
「うぅ……凄く嫌な予感しかしないんだけど……」
「そんなことはないで。今日が何の日か分かってたら、ある程度予想が出来るんやけどな」
「今日ってクリスマスでしょ? だったら、これはクリスマスプレゼントなのかな?」
「それは見てからのお楽しみや」
 ガサゴソと私が渡した荷物を開けるなのはちゃん。私が渡した荷物の中身。その中身は――

「……何、これ?」
「何ってクリスマスのプレゼントやけど?」
「こんなのもらっても全然嬉しくないよ」
 私が渡したプレゼントに呆れた顔を浮かべる。そんな顔になるほどのプレゼントかな?
 ただ普通のメイド服を渡しただけやのに。
「はやてちゃんは、わたしにコレを渡してどうしたいの?」
 半目で睨みつけてくる。なんや、なのはちゃんはこのプレゼントの意図が分かってないんか。
「それを着て、私に奉仕して欲しいんや」
「何で?」
「だって、今日はクリスマスやろ? 子供が欲しいプレゼントを貰える日やろ?
 せやから、メイド服を着たなのはちゃんに奉仕をして欲しいって私の願いを叶えて
もらってもいいはずや」
「色々と間違ってるよ、はやてちゃん。そもそもはやてちゃんは子供じゃないよね?」
「いいや、子供や。私の心はいつまで経っても子供のままや」
 いつまでも純真な心のままの子供なんや。
「悪戯好きって意味では子供のままなのかもね」
「納得してくれたみたいやね」
 納得してくれたのなら、早速メイド服を着てご奉仕を……
「出来るわけないでしょ! 何でわたしがこんなことをいないといけないの!?」
「クリスマスやから?」
「関係ないよ! クリスマスとか関係ないよね、コレ!?」
「いやいやいや、関係あるで。だって、今日は我儘を言っていい日なんやから」
「初めて聞いたよそれ!」
 色々と文句を言って、メイド服を着ようとしないなのはちゃん。そんなに文句を言って
も結局は着てしまうんやから、無駄やと思うんやけどね。
 まぁ、とにかく私の切り札を使わせてもらおうかな。
「なぁ、なのはちゃん……」
「ひゃぅ!? み、耳元で喋らないで」
「一生のお願いやから、メイド服を着て奉仕してくれんか?」
「その一生のお願いを聞くの、もう何回目?」
「ダメ……かな?」
 瞳をうるうると潤ませながら懇願する。これできっとなのはちゃんは落ちるだろう。
「うぅ……」
「お願いなのはちゃん」
「し、仕方ないなぁ……これで最後だからね」
「ありがと、なのはちゃん♪」
 ほら落ちたやろ? ほんま、なのはちゃんは優しいなぁ。

 年に一度のクリスマス。偶にはこういう我儘もいいと思うんよ。
 まぁ、私の場合はかなりの頻度で我儘を言ってるけどな。
 それでもクリスマスという特殊な日を利用しない手はない。今日は存分に可愛がって
あげるから、覚悟しとくんやで――なのはちゃん♪

inserted by FC2 system