美しい……本当にその言葉が彼女には似合う。
 その彼女に相応しい自分には、どうすればなれるのだろうか?
 少しでも彼女の目を引くようになるには、どうすればいいのか?  

 始まります。


「はぁ……」
 先ほどから一体何回溜息を吐いているのだろうか?
 鏡の中の自分に失望をする。
「こんな私じゃ……」
 全然可愛くも無いし、綺麗なわけでも無い私じゃ、なのはさんの隣にいられない。
 だからといって、なのはさんの事を諦める事も出来ない。
 だったら、どうするか? そんな事は決まりきっている。
「もっと綺麗に」
 なのはさんのように。
「もっと美しく」
 なのはさんが惚れるように。
「もっと――」
 もっと、もっと、もっと――
 彼女に相応しい人間に……
「う〜ん。わたしはティアナの事綺麗だと思うよ」
「え……」
「それに可愛いしね♪」
 極上の笑みを浮かべながら、私の事を褒めてくれる。仮にその言葉が社交辞令だったとしても、嬉しいと正直に
感じてしまうのはきっと、なのはさんの言葉だからだろう。もし、他の人間が同じ言葉をかけてくれたとしても、
嬉しいとは感じなかっただろう。
 ――じゃ、なくて、
「な、なのはさん。何でここに?」
 そう、何でなのはさんが私の部屋にいるのだろうか? それが気になる。
「にゃはは。秘密だよ♪」
 そう笑って――
「ティアナは、もう少し自分の事を信じてもいいんじゃないかな?」
「…………」
「ティアナはね、自分でも気づいてないかもしれないけど、凄く綺麗なんだよ。ビックリするくらい綺麗で美しくて、
いつもドキドキしてるんだからね」
 頬を赤く染めながら……って、ええっ!? な、なのはさんが私の事を見ていつもドキドキしている? う、嘘でしょ?
なのはさんが私の事を――
 予想外の言葉で、私の頭は完全に混乱してしまっている。
「だからティアナは、もう少し自信持っていこうよ……ね?」
「は、はい……」
「にゃはっ。照れてるティアナも可愛いよ?」
「――――――――――っ!?」
 ああ、もう! 本当にズルイ。一番可愛くて綺麗なのはあなたなのに。
 だから私は、そんなあなたに相応しい人間になりたい。
 あなたは今のままでも十分だと言うけど、まだ足りない。
 もっと、もっと、あなたが私だけを見てくれるようになるまでは。
 それまではもっと――

 綺麗でありたい。

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