もうすぐクリスマスがやってくる。恋人達が愛を語らいあう特別な日。
 今年のクリスマス。彼女は私にどんなプレゼントをしてくれるのだろうか?
 楽しみで……物凄く楽しみで、早く当日にならないかと思ってしまうほどに……
「あぁ、なのは。君はどんなプレゼントを用意しているのかな?」
 問いかけてもただ笑みを零すだけで、ヒントすらもらえない。
 だから少しくらい妄想をしてもいいよね?

 始まります。


「クリスマスの定番のプレゼントと言えばやっぱり……」
 冬という時期を考えてマフラーとかかな? なのはの手編みのマフラー。それを首に
巻いて外に出る。うん、それならいつでもなのはに抱き締められているような気分に
なって心も温かくなる気がする。
 しかも、なのはの手編みのマフラーを巻くことによって、他の人達になのはは私の恋人
なんですってアピールすることが出来る。
 うん。マフラーは悪くはないと思うよ。
「でも、もしかしたら……」
 マフラーだなんて直球な物ではなく、もっと変化のきいたものを用意してくるかもしれない。
 変化のきいた物――例えば『一日何でも言う事を聞く券』とかどうだろ?
 よく子供が親に渡したりすると聞く噂の『肩たたき券』と同じ感覚で、その券を使えば
その日、一日なのはを好き勝手出来る。
 そんな変化に富んだクリスマスプレゼントも悪くはないと思う。
「……だけど、その系統でいくのなら――」
 都市伝説となっている、身体を全身リボンで包んで『プレゼントは、わ・た・し』み
たいなのもいいのではないだろうか?
 もしなのはが、そんな格好で私の前に現れたら一秒とて我慢は出来ないだろう。
 その場で、なのはに襲い掛かりなのはの身体を貪るだろう。なのはからのプレゼント、
それを余すことなく隅々まで……
「どれも悪くはないけど、やっぱり最後のやつが……」
 願望が入っているけど、個人的には『プレゼントは、わ・た・し』がいいかな。
 ここ最近、忙しくてなのはを食べていないからちょうどいい機会だと思う。
「なのは! クリスマスのプレゼントは君が欲しい!」
 拳を天井に突きあげながら妄想を垂れ流す。

「フェイトちゃん……妄想を垂れ流すのはいいけど、本人の前では止めて欲しいかも」
「……ふぇ?」
「フェイトちゃんが、わたしのことを好きだって気持ちはよく分かるんだけど、少し
自重して欲しいな」
「な、なな……なの、は?」
 どうして君がここに? まだ帰ってこない時間のはずなのに――
「あ、あの――今のは、その……」
 ただの妄想っていうか、願望っていうか……と、とにかく今のは違うんだよ。
「フェイトちゃんって、スケベだよね」
「な――っ!?」
 目の前でスケベと言われると、かなりショックだ。確かに妄想を垂れ流してはいたん
だけど、それをなのは本人には聞かれたくはなかったよ。
 私は、なのはがくれるのならどんなプレゼントでもいいのに――なのはの身体を求め
ているみたいじゃないか。
 いや――事実としては、なのはの身体を求めてはいるんだよ。で、でも……だからと
いって自分の妄想を聞かれるのはやっぱり――
「スケベなのは仕方がないけど、フェイトちゃんの願望を聞き入れるのは難しいかも」
「違うの! 本当に違うんだよなのは!」
 あれはただの妄想だからね! 夢! 夢なの!
「普通のプレゼントでごめんね?」
「だ、だから――」
 私は普通のプレゼントでいいの。なのはの気持ちが入ってたら私はそれでいいんだよ。
「にゃはは、冗談だよ。フェイトちゃんは、ほんとに可愛いね」
「う、うぅ……」
 向日葵のような最高の笑顔でなのはが笑う。
 あぁ、この笑顔があればもう他のプレゼントなんていらないかも。私はなのはが側に
いてくれて笑顔でいてくれるだけで満足だ。
 うん。一緒に居てくれるのが、もしかしたら私にとっての最高のプレゼントなのかもしれない。

 ――そしてクリスマス当日。
「はい、フェイトちゃん。クリスマスプレゼントだよ」
「あ、ありがとなのは」
 なのはからもらったプレゼントの中を見てみる。
「こ、これは……」
 私が最初に妄想した手編みのマフラー。それが入っていた。
「身体にリボンを巻くのは無理だったから、ごめんね?」
「や、もう勘弁してください……」
 その話しを蒸し返すのは止めてください。自分が悪いとはいえ、恥ずかしいよ。
「にゃは、これで寒い冬も温かく過ごせるね」
「そうだね。ありがとなのは」
 なのはの温もりを感じれて、なのはの所有物であると自覚出来る。
 これがプレゼントでよかったよ。
 まぁ、裸のリボンを期待していなかったといえば嘘になるけどね。

 それは今度……いや、今夜なのはをいただく時にリボンを巻いてみようかな。
 ねぇ――なのは。

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