「ふにゃあぁぁああぁぁぁああぁぁああぁぁあっ!?」
「な、なのはママっ!?」
 不意に聞こえた悲鳴。
 誰が出したのか、そんなことを聞く必要なんてない。
 声だけで誰か分かるし、そもそも今家には私となのはママしかいないのだ。
 一体、なのはママに何が起きたのだろうか?

 始まります。


「なのはママ!? どうしたの?」
 悲鳴が聞こえて速攻でなのはママの所へと駆けつける。
 本を読んでいる途中だったけど、片づけることなく本を放り投げてなのはママの所へと向かう。
 駆け付けた先、なのはママは酷く怯えた様子で……
「ヴぃ、ヴィヴィオ……」
「どうしたの? 何があったの?」
 なのはママの身体を抱き締めながら、何があったのかを聞いていく。
 普段は凛々しくて強い印象のなのはママは、今は凄く弱く見える。
 弱いって言っても妙に可愛らしい弱さなんだけどね。私が子供の時って、こんな風に思われてたのかな?
 そんなことを考えてしまうくらいにプルプルと震えていて可愛い。
 ――って、そうじゃなくて理由を聞かないと。なのはママがこんな風になってしまった理由を。
「なのはママ……」
「……出たの」
「え?」
 出た? 一体、何が出たと言うのだろうか?
 変態? 不審者? だけど、そのどちらかでもなのはママなら簡単に退治出来るような気がするんだけど……
「なのはママ。何が出たの?」
「………………キブリ」
「きぶり?」
「ゴキブリが……黒いアレが出たの!」
 目に涙を浮かべながら理由を話してくれた。てか、ゴキブリかぁ。
 でも、いくら何でも驚き過ぎじゃないかな? 確かに嫌だけど、そこまでの反応をする必要もないような?
「もう嫌ぁ。何でゴキブリが出るのぉ?」
「私に聞かれても困るんだけど……」
 どれだけ綺麗に清潔に保っていても、出る時は出ると思う。
 本当にゴキブリの機嫌次第じゃないのかな? こっちとしては迷惑でしかないんだけどね。
 向こうも生きるためだし……むぅ〜。
「もうダメ。ゴキブリがいると思ったらもうダメなの」
「な、なのはママ……?」
 何だか少しづつ雲行きが怪しくなってきたような? 凄く嫌な予感がしてきてるんだけど。
「レイジングハート!」
「ママっ!?」
 なのはママがレイジングハートを取り出して魔法を使おうとして――って、ダメ! 本当にソレはダメだから!
「落ち着いて! お願いだから落ち着いてってば!」
「無理っ! 殲滅するの! ゴキブリなんて魔法で倒すんだからぁあぁあっ!」
 酷く錯乱状態になっているなのはママ。
 これは本気で止めないと家が壊れちゃうよ。ゴキブリのために家が壊れるとか絶対に嫌だからね!
「もー! なのはママッ!」
「離して! 離してよヴィヴィオ!」
「本当に落ち着いてってば!」
 羽交い絞めにして魔法を使わせないようにする。
 普段は凄くカッコいいのに、どうしてこうなっちゃうのかな。これはこれで可愛いけど、勘弁して欲しいかも。

「うぅ……ゴキブリ嫌ぁ……」
「よしよし」
 何とかなのはママを落ち着かせることに成功した。
 そのせいで未だに涙目になっているけど、家を壊されるよりはマシだよね。それに可愛いし。
「私がどうにかするから、なのはママは大人しくしてようね」
「うぅ〜ヴィヴィオ大好きぃ……」
「大袈裟なんだから」
 とりあえずゴキブリはきっちりと始末しよう。
 色々と大袈裟な気もするけど、こういうなのはママを見るのも珍しい感じがしていいかも?

 なのはママを慰め、そしてゴキブリを退治する。
 偶にはこういう風に私がなのはママを守るのもいいんじゃないかな。
 まぁ、相手はゴキブリなんだけどね。あはは……

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