凛々しくて綺麗なあの人。
 だけど、だけどもし、彼女がドジっ子だったら……
 それもまたいいのかもしれない。

 始まります。


「ドジっ子な、なのはさん」
 私は今一度それについて思案する。
 まずは何も無い所で転ぶなのはさん。
 そして転んだ表紙に下着が見えてしまうハプニング。
 その事に気が付いて顔を真っ赤にするなのはさん。

 次に言葉を噛んでしまうなのはさん。
 大事な話の途中で噛んでしまい舌っ足らずな感じになってしまう言葉。
 一度間を置いてもう一度話し始めるがまた同じ所で噛んでしまう。
 あまりの情けなさに再び顔を赤らめるなのはさん。

 更には壁などにぶつかってしまうなのはさん。
 目が悪いわけでもないのに何故か吸い寄せられるように壁にぶつかる。
 そしてぶつかった瞬間に『にゃっ!?』なんて可愛い声をあげたりする。
 運の悪い事にぶつかった所を誰かに見られてしまい顔を赤くする。

 そんな、なのはさんはどうなのだろうか?
 私としては、ドジっ子な彼女も魅力的だと思う。
 実際その姿を見る事は出来ないのだろうが、それでもいいと思う。
 でも実は私が知らないだけでなのはさんは、ドジっ子なのかもしれない。
 誰にも知られていない所で転んでいたりしているのかもしれない。
「可愛い。可愛いですよなのはさん」
 一度でいいですから、そんな姿を私に見せていただけないでしょうか。
 一度でいいですから、萌え萌えなあなたを見せていただけないでしょうか。
 一度でいいですから――
「わたしの事を想ってくれるのは嬉しいけど、変な妄想はよくないかな?」
 ………………え?
「それになんだか、わたしをバカな子みたいな感じにしないで欲しいかも」
「な……なのはさん?」
 確認しなくても分かっている。この声はなのはさんの声だ。
 私に文句を言っているという事は、確実に先ほどの妄想を聞かれたという事だろう。
 あの私の妄想を……
「あ、あのですね……今のはその――」
 もう遅いと知りつつも何とか誤魔化せないかと画策する。
「ティアナって……変?」
「ち、違いますよ!」
 マズイ。このままだと、なのはさんに変態と思われてしまうじゃないか。
 早くこの誤解を解かないといけない。
「いいですかなのはさん。別に私が変態とかではなくてですね、偶にはそういう妄想もいいかな
って思っていただけであって、私は正常なんですよ」
 そう。この程度の事は誰でも抱くものなんですよ。
「そうなのかな……?」
「そうなんです!」
 そう思っていただけないと私が変な人で終わってしまうから。
 意地でもそう思って下さい。
「ティアナがそこまで一生懸命に言うなら信じるけど……」
「ええ、私を信じて下さい」
 お願いですから本当に信じて下さい。
 私はまだあなたの側に居たいから。だから――

 まだ変態と認識しないで下さい。

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