ヘタレ王子様。
 ヘタレダメ亭主。
 ヘタレ王。
 様々な呼び名でヘタレと言われ続けた私ですが……今日こそは、そのヘタレの汚名を
返上したいと思っています。
 今日から私は強気で肉食系になるのです!

 始まります。


「……んっ、ん……」
 すやすやと無防備な姿で眠っているなのは。
 普段の私なら紳士的に毛布でも掛けて去るところですが、今日は違います。
『フェイトちゃんってヘタレだよね』なのはに言われた、この一言。
 物凄くショックを受けました。
 私は、なのはのことを想って紳士的な対応を取ってきたのに。
 そんな風に言われてしまったら、さすがの私も心を鬼にするしかありません。
 なので私は今ここで、無防備に眠っているなのはに手を出そうと思います。
 なのは……君が悪いんだよ?
 君が私のことを“ヘタレ”とか言うからこんなことになるんだよ。  

 私は眠っているなのはの胸に、そっと手を伸ばし――
「――んっ」
 ピクリとなのはが反応する。
 柔らかいなのはの胸。その胸を私は今、触っている。
 しかも眠っている相手に対して胸を触っている。
 背徳的な感情。そんな感情が湧いてくるけど、ここで立ち止まることは出来ない。
 なぜなら、私は“ヘタレ”ではないから!
 だから、もっと責めるんです!
「……んっ、んぁ……あっ」
 私の手が動くたび、なのはから甘い吐息が漏れる。
「……な、なのは……っ」
 あぁ、なのは。君はなんてイヤらしいんだ。
 私に胸を揉まれてエッチな声をあげて。更には胸の先端部分までも硬くして――
 ほんとにイヤらしい。エッチ過ぎるよなのは。
 こんな、こんななのはの痴態を見せられて我慢なんて出来るはずがない。
 もう襲ってもいいよね? いいよねなのは!
 理性が外れた私は眠っているなのはの服を剥がし、そして――


「そして私は、なのはに襲い掛かった。と」
 ふむ。なかなかいい台本じゃないかな。
 この台本の通りに行動すれば“ヘタレ”の汚名もきっと返上できるはず。
「ふふ。ふふふ、なのは。楽しみにしててね♪」
「何を楽しみにしてるの?」
「うん? それはね、私がなのはを犯――――すっ!?」
 えっ!? あれ? こ、この声ってもしかして…………
 恐る恐る後ろを振り返ると――
「♪」
 笑顔のなのはが立っていた。
 うん、なのはの笑顔はやっぱり可愛い。
 可愛いんだけど…………どうしてだろう? もの凄く恐い。
「あ、あのね、なのは――」
「ん?」
 可愛らしく小首を傾げるなのは。
 あぁ、その姿はとても魅力的だけど、今はそれどころではない。
 なんとかしてこの状況を切り抜けなければ……

 う〜あー。
「ご、ごめんなのは! おやすみ!」
「ふぇ、フェイトちゃん!?」
 無理! やっぱり無理だよ! なにも考えが浮かばない。
 こんな時は逃げるに限るよ。
 情けない? 分かってるよ。でも、これしか方法がないんだもん!
 そんなわけで逃げる私の後でなのはが――

『やっぱりフェイトちゃんはヘタレだよ……』
 何かを呟いたような気がしたけど、それを聞いている余裕はなかった。

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