遠くに見つけるは愛おしきあの人の姿。
 近づいて話をしたい。顔を見たい。私に微笑んで欲しい。
 そんな欲望を持ちながら、愛おしきあの人に近づく。
「な、なのはさ――――っ!?」
 話かけようとした所で、言葉が詰まる。
 なのはさんが泣いていた。
 あの愛くるしい瞳を真っ赤に染め、涙を溜めていた。
 誰が!? 一体、誰がなのはさんを泣かせたっていうの?

 始まります。


「あ、あれ? ティアナ……どうしたの?」
 未だ涙を流しながら、なのはさんが問いかけてくる。
「そんなことより、誰に泣かされたんですか!?」
 なのはさんの問いを無視して、自分の疑問をぶつける。
 私のことなんて今はどうでもいいんです。
 今は、なのはさんを泣かせた犯人を捕まえる方が先ですから。
 ですから――
「教えて下さいなのはさん。一体、誰に泣かされたんですか?」
 私があなたの代わりに犯人にお仕置きをしますから。
「て、ティアナ!? な、なな、何を言ってるの?」
「お願いですから隠さないで下さいなのはさん」
 相手の役職とか関係ありませんから。
 役職とか関係なく私は、なのはさんを泣かせた犯人を始末しますよ。
 だから安心して下さい。
「あ、あのねティアナこれはね――」
 必死に相手を隠そうとするなのはさん。
 ですが私も折れませんよ。だって、私は決めたんですから。
 なのはさんを守る騎士になると。
 だから私は騎士として、泣いているお姫様を守る必要があるんです。
「お願いします!」
 あなたを苛めた犯人を教えて下さい。
 深く頭を下げてなのはさんに頼みこむ。
「う〜、ティアナが全然話を聞いてくれないよ〜っ!」
 話を聞いてくれないのは、なのはさんの方ですよ。
 いい加減に犯人を教えて下さいよ。
「違うの〜! これはただの花粉症なの!」
「――――――え?」
「だから、ただの花粉症なんだってば〜」
「か、花粉症ですか……?」
「そうなの!」
 つまり、花粉のせいで瞳を赤く染め、涙を流していたと。
「分かってくれた?」
「……はい」
 は、恥ずかしすぎる。物凄い勘違いでなのはさんに迫るなんて私は――
 自分でもわかるくらいに顔が赤くなっていく。
「にゃはは、そんなに恥ずかしがらなくても……」
 いやいや、すっごく恥ずかしいですって。
「まぁでも、勘違いとはいえここまで心配してもらえるのは嬉しいかな」
「……なのはさん」
「にゃはは♪」
 とても可愛らしく笑うなのはさん。
 あぁ、あなたがそんなにも愛らしいから私は――

 どんな手段を使ってでもその笑みを守りたくなるんです。
 たとえ勘違いだったとしても、あなたには常に笑顔でいて欲しいですから。
 私は暴走するんでしょうね。

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