今日はバレンタインデー。
 大好きな人にチョコレートを渡す日。
 勿論私も、なのはのためにチョコを作ったよ。
 何度も、何度も失敗したけど、それでも諦めずに作り続けた。
 自信は無いけど、それでも君の事を想って一生懸命作ったチョコレートなんだ。
 だから受け取って欲しいな。

 始まります。


「――よし。ちゃんと鞄の中に入れてるよね」
 なのはに渡すためのチョコを忘れてないか、何度も確認する。
 せっかく用意したのに忘れてしまったら意味がないからね。
 確認をした後、気合いを入れて家を出る。
 ちゃんとなのはに渡すんだ。
 ヘタレずに私から――

「フェイトちゃん。待った?」
「あ、ううん。全然待ってないよ」
 本当は待ち合わせの時間の一時間も前から待ってたけど、そんな事は言わない。
 待っている間、緊張しすぎて変になりそうだったなんて余計に……
「あ、あのね、なのは――」
 私からちゃんとチョコを渡そう。そう思って言葉を発したけど――
「あ、バレンタインのチョコだね。はい、フェイトちゃん♪」
「うん……」
 先になのはからチョコを貰ってしまった。
 うぅ……私からチョコを渡したかったのに……
「あ、あれ……? フェイトちゃん?」
 心配そうな顔でなのはが私の顔を覗き込んでくる。
「もしかして……チョコ、いらなかった?」
 今にも泣きそうな顔で聞いてくる。
「ち、違うよ! なのはから貰えてすっごく嬉しいよ!」
 ただ、出来る事なら私の方から先に渡したかっただけで……
 あー、やっぱり締まらないなぁ。
 何でいつも私はこうなんだろう。
 せっかく、ヘタレから脱却したかったのに、結局出来てない。
 いつもいつも、なのはに先を越されてしまう。
 ほんと、情けないよぉ……  

「大丈夫だよフェイトちゃん……」
 不意になのはに抱き締められる。
「なの……」
「フェイトちゃんが悲しそうな顔をしてる理由は分からないけど、わたしが側にいるから大丈夫だよ」
 優しく、そして温かい言葉をかけてくれるなのは。
 うん。こんなところでへこたれてる場合じゃないよね。
 ちゃんと、なのはにチョコを渡さないと。
「な、なのは……その……」
「うん?」
「こ、これを……受け取って欲しいんだけど……」
 恐る恐るチョコレートを差し出す。
「わぁ♪ ありがとフェイトちゃん」
 満面の笑みでなのはが喜ぶ。
 よかった。なのはに喜んでもらえた。
 でもまだ、終わっていない。
 ちゃんと私のなのはへの気持ちを伝えないといけないから。
 ヘタレずにちゃんと言おう。
「なのは。私は君のことが――」

 ――誰よりも、君のことが好きだ。

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