君はいつも私より早く起きていて、私はいつも君より遅く起きる。
 だって朝起きるのは少し私には辛くて、
 でも起きてまず最初に君の笑顔が見られると思うと、
 そんな辛さも悪くは無いって思える自分がいる。
 しかし、たまには私の方が先に起きてしまう事もある。
 今日はそんな稀な日のお話。
 

 始まります。


「う………ん……」
 朝、目が覚めて時計に目をやると、普段私が起きる時間より随分早くて、なのはが起きる時間より少し早い。
 だから、もちろんなのはは今も寝ている。
 眠い瞳をこすりながらなのはに目をやる。
 なのはは寝ている姿も可愛い。いや、なのははいつだって可愛いのだけれど寝ている姿は格別だ。
 だって、なのはの寝顔は近しい者以外他の誰にも見せて無い私だけの物だから。
 普段の凛々しい顔は見れても、この油断しきった顔は私しか見る権利は無いのだ。
 というより、もし見た者がいれば私が速攻で排除する。
 ここで敢えて断言しよう。

『なのはの寝顔は私だけの物だっ!』
 ――とと、少し騒がしくしてしまったかな? 出来ればなのはの貴重な睡眠時間は邪魔したくない。
 いつも頑張っているんだから、寝ている時くらいはゆっくりしてほしいからね。
 そっとなのはの髪を撫でながら、ゆっくりと寝顔を拝見する。
 うん。これで今日のお仕事も頑張れる気がするよ。
 暫く寝顔を鑑賞していると、そろそろなのはが起きる時間が近づいてきた。
 偶には私が起こすのもいいかなって思って、なのはの体をゆさゆさと揺らすと、
「う、ん………」
 何度か起こそうとするけど、一向に起きる気配が無い。よほど疲れているのだろうか?
 出来る事ならずっと寝かせておいてあげたいけど、そういうわけにもいかないので、なのはを起こす。
「なのは、起きて」
 ゆさゆさ
「なのは」
「んん〜〜〜〜」
「起きて――」
 ゆさゆさ
「ん……フェイトちゃ………」
 ダメだ。全然起きる気配が無い。
 なのはには悪いけど、少し激しく起こすしかないよね。
 そう思い行動にでようとすると――――
「フェ……イト…ちゃ……だい………すき……だよ」
 ――――――?
 ね、寝言……? 完全に不意打ちぎみの言葉に時が止まってしまう。
 い、いや……なのはに好きって言ってもらえるのは嬉しいんだけど、さすがに不意打ちで言われるとビックリするよ。
 そんな私の気持ちも知らずなのはは――
「むにゃ……フェイトちゃん………」
 ぐっすりと眠っている。
「はぁ…………」
 まぁ、偶にはこんな日があってもいいのかもしれない。
 嬉しい言葉も聞けたし、可愛い寝顔も見れたし、後は素敵な笑顔だけだね。
 その笑顔を求めて、なのはを起こす。

 うん。ほんとに偶にはこんな日があってもいいね。
 そんな稀な日の朝の出来事。

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