ある程度成長したヴィヴィオのお話ですよ。


 愛しのあの人と歩く道。
 晴れている日があれば、雨が降っている日だってある。
 日々変わっていく天気。だけど、私の気持ちはずっと変わらない。

 始まります。


「あ……雨が降ってきちゃったね」
「うん……」
 なのはママとの久し振りのお散歩。
 この所忙しくて、全然そんな機会がなくて今日久し振りに二人っきりで、お散歩していたのに、
 急に雨がパラパラと降り出す。
 本当ならいきなり降ってくる雨に文句の一つでも言ってやりたい気分だけど、今回は許してあげる。
 だって私は、折りたたみの傘を持っているから。
「なのはママ、私傘持ってるよ」
「ほんと? 用意がいいね」
「偶然だよ」
 ほんとは、偶然なんかじゃ無い。ここ最近いつも折りたたみの傘を持っていたんだ。
 実はなのはママとその……一つの傘に二人で入ってみたかったんだ。
 その、俗に言う相合傘っていうのをやってみたくて……
 だから、これ幸いと傘を差し出す。
 本当は、私が傘を持ちたかったんだけど、なのはママの方が身長が大きいから仕方が無いかな。
 少し格好がつかないけど、これはこれで、いいのかな?
「ヴィヴィオもう少し寄らないと濡れちゃうよ?」
「あ、うん」
 なのはママの身体に触れてしまいそうな距離。
 昔は何の躊躇も無く身体に触れる事が出来たけど、今は中々出来ない。
 触れたい。もっとなのはさんに触れたい。
 こんな触れかたじゃなくて、もっと直接――
 でも、触れてしまうと、この関係が崩れてしまうんじゃないかと不安になる。
 なのはママは私の事、どう思っているのだろうか?
 娘? それとも――――
「はぁ……」
 バカだ。そんな事あり得ないのに……なのはママは私の事を娘としか思ってないのに……
「ヴィヴィオどうかした?」
「ううん、何でも無いよなのはママ」
 はぁ……こんな気持ち雨と一緒に洗い流せたらどんなに楽だろうか……
 でも、私の気持ちはこんな物で洗い流せる程弱くは無い。
 なのはママと密着出来ている喜びと、報われる事の無い想いに対する憂鬱さが入り混じって、
どうこの気持ちを処理すればいいのか迷っていると――

「ふふっ……わたし達こんなに寄り添って、見る人によってはわたし達カップルに見えるかもね♪」
「ええっ!?」
 突然大きな爆弾を投下する。
「な、なのはママ……何を言って……!?」
「ヴィヴィオはそういう風に見られるのは嫌?」
「そ、そんな事無いよ!」
 私は出来る事なら、恋人になりたいと思っているのに……
「にゃはは、嬉しいかな?」
 もしかして、なのはママも―――――
「あ……雨が止んじゃってるね」
「そ、そうだねっ」
 しかし、なのはママは傘を仕舞おうとはしない。
「なのはママ……?」
「ん?」
 気になってなのはママの顔を覗き込むけど、ただ笑みを浮かべているだけで……
 もしかして、このまま密着していたいのかなって、期待してしまって、
「なのはママは――」
「何?」
「ううん。何でも無いよ」
 でも、そんなわけ無いのかなって思ったりもする。

 結局家に着くまで、私達は傘をさしたままだった。
 なのはママが何でこんな行動をしたのかは分からないけど、もしかしたら今日の天気のようにただの
気まぐれだったのかもしれないし、本気で私の事を想っているのかもしれない。
 それは、なのはママに聞かないと分からないけど、たとえ今回の行動がただの気まぐれだったとしても、
私のなのはママへの気持ちは永久に変わる事は無い。
 私はなのはママを愛しているから――

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