しとしと、と振り続ける雨。
 流れる雫のようにわたしの気持ちも流れてくれたらいいのに。
 そうすれば、少しは楽になれるのかな?

 始まります。


「あ……傘忘れちゃった……」
 雨が降るって分かってたのに傘を忘れるなんて、うっかりし過ぎだよ。
 別に雨は嫌いじゃないけど、雨に濡れるのは嫌だな……
 走ればあまり濡れなくて済むのかな。
 どうしよ……走るしかないよね?
 覚悟を決めて足を一歩踏み出すと、
「おい、なのは!」
「ヴィータちゃん?」
 ヴィータちゃんに話しかけられて足を止める。
 どうしたんだろ? 何かあったのかな?
「傘が無くて困ってるんだろ? 貸してやるよ」
 そう言って差し出される傘。あれ、でもヴィータちゃんのは?
「ヴィータちゃんはどうするの?」
「あたしは別にいいんだよ! はやてかシグナムの傘に入れてもらうから」
「え、でも……」
 確か今日は二人とも帰りが遅くなるって聞いたような……
「あ、あたしの事はどうでもいいんだよ! だからお前は早く帰れよ」
 うっ……酷いよヴィータちゃん。
「もうあたしは行くからな」
「あっ、ヴィータちゃん待って!」
「あ?」
「どうせなら一緒に帰ろうよ。それなら問題無いでしょ?」
 わたしのためにヴィータちゃんが我慢するなんて嫌だもんね。
「い、いや、あたしは……」
「ヴィータちゃん!?」
 走って行っちゃったよ。一緒に帰りたかったのに……
 逃げるように行くなんて、ヴィータちゃん本当はわたしの事嫌いなのかな?
 わたしのこの気持ちは一方通行なのかな?
 ヴィータちゃんから借りた傘を見て、ふと想う。
 彼女にとってのわたしって一体どういう存在なんだろうと。
 ただの友達? それとも仲間?
 そう思ってくれるのは嬉しいよ。
 でも、わたしは――

「……はぁ。ダメだねわたしは」
 この想いをあなたに伝える事も出来ない。
 ただ恋焦がれているだけ。
 あなたの優しさに浸っているだけ。
 そんなわたしの気持ちなんて、
 この雨のように綺麗に流れていってくれれば、どんなに楽なんだろう。
 でもこの気持ちは無くしたくない。
 消えて欲しい? 消えて欲しくない?
 わたしの本当の気持ちはどっちなんだろう。

 結局傘を差さずに家まで帰ってしまった。
 せっかくヴィータちゃんが貸してくれたのに何やってるんだろ。
 気持ちの整理もつかず、ただ雨に濡れる。
 ほんと、何やってるんだろうね。
 バカだよ……わたしは。
 本当に……ね。

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