「はい、あーん」
 恋人や子供相手にする一つの食べさせ方。
 ひな鳥のようにただ口を開けて、相手に食べ物を食べさせてもらう方法。
 それを何故、我が――

 始まります。  


「ロードちゃん。はい、あーん」
「…………」
「あーん」
 なのはが我の口元にお菓子を持ってきて食べさせようとしてくる。
「ロードちゃん。口を開けてくれないとお菓子を食べさせられないよ」
「知っておる」
 だから口を開けないのだ。
 お菓子なぞ我一人で食べる事が出来るというのに、何故なのはに食べさせてもらわないといけないのだ。
 我はそこまで子供ではないのだぞ。
「ぶー、ロードちゃんのケチー」
「ケチなどではない」
 ぷくっと頬を膨らませて抗議してくるなのは。
 はぁ。何故、そこまで食べさせることに拘るのだ?
 なのはがこのお菓子を作ったのは分かっておる。それを我に食べて欲しいというのもな。
 なら、普通にお菓子を寄越せばいいではないか。
 わざわざ、なのはに食べさせてもらう必要はないだろ。
「……ロードちゃん」
「な、なんだ?」
「あーん、ってしてくれないとお菓子あげないよ」
「な――っ!?」
 何故、そうなるのだ!? 意味が全然分からんぞ。
「食べたいのなら口を開けて」
「むぅ……」
「ほら」
「…………あーん」
「あーん♪」  

 ぱくりとお菓子を食べさせてもらう。
 一つ言っておくが、我はお菓子を食べたいがために、口を開けたのではないからな。
 ただ、なのはがうるさいから口を開けてやったにすぎない。
 我の心は広いからな。ただ、なのはの要望に応えてやったにすぎないのだ。
「どう? 美味しいかな?」
「……まぁまぁだな」
「そっか♪」
 嬉しそうにほほ笑むなのは。
「じゃあ、今度はこっちを食べてみて」
「……あーん」
「あーん♪」
 先ほどと同じように、なのはに食べさせてもらう。
 分かっておると思うが、これは我の意志とは違うからな。
 そこのところを勘違いするなよ。

 そう。全ては我の優しさからきておるのだ。

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